冬のいちばん寒い時期に旬を迎えるブリは、成長するほどに名前の変わる出世魚として知られており、年末年始には縁起をかついで食べる地域も多い魚です。
北陸から山陰にかけての日本海側が主な水揚げ地として知られていますが、北海道から九州まで、さまざまなところでとれることは意外と知られていないかもしれません。
現在では養殖も進み、質の良いブリが各地で育てられています。
冬だからこそ寒ブリが食べたい!
真冬になると産卵と越冬をするために栄養を蓄え、その身が充実しておいしくなるブリ。
背身までびっしりとサシが入り、大きく太った冬のブリを「寒ブリ」といいますが、ブリで有名な富山県氷見市では「ひみ寒ぶり」というブランド魚として、一定の条件をクリアしたもののみがその名を名乗ることが出来ます。
富山県の定置網でとれた、6キロ以上のもので、姿形と質の良いものというのがその条件とされています。
この「ひみ寒ぶり」が安定して供給できるメドが立つと、氷見漁港から「ひみ寒ぶり宣言」が出され、寒ブリが市場に出回ります。
例年は11月か12月頃には出る「ひみ寒ぶり宣言」ですが、この冬は1月6日まで宣言が出ず、宣言をするようになってから今までで一番遅いものになりました。
脂の乗った寒ブリを、ぜひ楽しんでみたいですね。
寒ブリを食べるならブリしゃぶで!
煮ても焼いてもおいしい寒ブリですが、そのおいしさを堪能するなら、やはりブリしゃぶは外せないのではないでしょうか。
新鮮な寒ブリが手に入ったらぜひ試して欲しい、寒ブリを使った料理のひとつです。
ブリといっても1匹が大きく、さまざまな部位がありますが、ブリしゃぶにするのなら、脂をしっかりと蓄えている腹身を使うのが、おいしいブリしゃぶを楽しむコツです。
断面が大きくなるように4ミリほどの厚みのそぎ切りにして、薬味とともにお皿に並べ、昆布とお酒を加えたたっぷりのお湯と野菜を用意します。
鍋のお湯を沸騰させないように注意しながら、1枚ずつ数回しゃぶしゃぶとお湯にくぐらせ、表面が白っぽくなったら、薬味を入れたポン酢につけていただきます。
天然のブリと養殖のブリの違いは?
同じ寒ブリを食べるにしても、天然物と養殖物があり、価格的には養殖のもののほうが手頃だといえますが、味わいもそれぞれ違っています。
天然物はとれた後の締め方などで質に差が出るといえ、ひみ寒ぶりや佐渡島ぶりなどの天然のブランド魚は、血なまぐさい感じがまったくなく、独特の良い香りがするのが特徴です。
養殖物の場合は、餌の香りが脂に出るといわれるので、どんな餌をあげて育てているのかをチェックするといいでしょう。
なかにはかぼすブリのように、柑橘類を餌に与えることで、その風味を感じられるものもあり、養殖ブリの独特の匂いが苦手な人は、そうしたものを選ぶようにするといいかもしれません。
養殖ブリは天然物と違って、冬だけでなく1年中楽しめるのもいいところ。
週末のごちそうとして、あちこちの産地からお取り寄せをするのも楽しいといえます。
ブリしゃぶに合わせるならこんなお酒を
ブリしゃぶといっしょにいただくお酒は、ポン酢などのつけダレによって、合わせるお酒も変わってくるといえます。
例えばワインを合わせたいのであれば、ポン酢は酸味が強いため、白ワインはポン酢に負けてしまいがち。
選ぶなら辛口のロゼワインを合わせるのがおすすめです。
しかし、やはり日本酒との相性は捨てがたいものがあります。
寒ブリの水揚げ地としても知られる、新潟県佐渡市にある尾畑酒造では、寒ブリによく合う日本酒を造っています。
なめらかな口当たりと、お米のうまみとコクに、軽やかな酸味が感じられる純米酒は、脂の乗った寒ブリで楽しむブリしゃぶにぴったりです。
ブリの描かれたラベルも可愛く、食卓に華を添えてくれます。
厳しい冬の海でその身を充実させた寒ブリは、おいしさもひとしお。
ぜひ冬の間においしいお酒とともに楽しみたいですね。