厚切りのトーストの上に、たっぷりのバターとあんこをのせて食べる「あんバタートースト」。
今ではすっかり全国区となった食べ方ではありますが、カフェのメニューなどで定着したのは比較的最近のことです。
今回は甘くておいしいあんバターのルーツや最近の傾向、さらにはよく合うお酒をご紹介します。
もともとのルーツは名古屋の喫茶店にあり
今ではカフェのトーストメニューとして一般的になったあんバタートーストは、モーニングの聖地ともいえる愛知県名古屋市で生まれた軽食メニューです。
名古屋市の繁華街、栄にあった「満つ葉」という喫茶店が発祥だと言われています。
大正時代のハイカラブームに乗り、軽食メニューとしてバタートーストを提供したところ、学生客がトーストをぜんざいに浸して食べるようになったのがその始まりです。
ぜんざいに浸して食べる様子を見た店主が、トーストに小倉あんをのせたものを思いつき、のちに愛知県全体に広まっていったといいます。
拡散のきっかけはコメダ珈琲店の全国展開
いわゆる名古屋めしのひとつとして、名古屋でしか見かけることのなかったあんバタートーストが、全国に広まった大きな要因のひとつといえるのが、名古屋が本拠地であるコメダ珈琲店の全国展開です。
東京や大阪だけにとどまらず、さまざまな地域に相次いで出店したことをきっかけに、そのメニューに並んでいたあんバタートーストも全国に広まっていきました。
今やカフェのメニューとして定番化するだけでなく、コンビニやスーパーで販売される菓子パンとしても人気を博しています。
進化する令和のあんバタートースト
とても速いスピードで全国区となったあんバタートーストですが、コロナ禍を経てさらなる進化を遂げているといえます。
カフェだけではなく家庭で楽しむ人も増え、そこに高級食パンブームも重なったことから、良い素材を使ったあんバタートーストを楽しむ人が増えています。
とはいえ、あんバタートーストはとてもシンプル。
だからこそ家庭で取り入れやすく、贅沢な素材を使えるのも家庭ならではといえます。
高級食パンを厚めに切ってトーストし、状態の良い有塩バターをたっぷりと塗ってから、産地にこだわった大納言小豆を使ったあんこをのせる、といったように、自分好みのこだわりの材料に惜しみなくお金をかけることも可能です。
それが市販の瓶詰めのあんバターやカフェのメニューに波及して品質が高くなる、といったスパイラルを生み、ぜんざいにトーストを浸すことから始まったあんバタートーストを進化させています。
あんバタートーストにお酒は合う?
カフェの軽食メニューということもあり、合わせる飲み物はコーヒーなどのソフトドリンクを想像する方も多いあんバタートースト。
トーストでなければ、小倉あんを使ったお菓子にお酒を合わせる人もいることから、その相性を試したことのある人もいるのではないかと思います。
大福などの和菓子に日本酒を合わせたり、小倉羊羹にシングルモルトウイスキーを合わせるのは、ちょっとした冒険でもあり、楽しいものです。
あんバタートーストに合わせるのであれば、おすすめしたいのは芋焼酎です。
飲み方はロックやストレート、濃いめの水割りなどがおすすめですが、芋焼酎の持つ独特の香ばしさやフルーティな香りがよく合います。
特に佐藤の黒のような、芋本来の甘みや香りが楽しめるものとの相性が良く、とろりとした口当たりの芋焼酎と、濃厚な甘みの小倉あん、トーストに塗った有塩バターのほんのりとした塩気が絡み合い、コーヒーでは味わえない甘美な時間を楽しむことが出来ます。
自分好みにカスタマイズしたあんバタートーストに、おいしい芋焼酎を合わせて夜のデザートにすれば、楽しい時間が過ごせること間違いなしですよ。