春・夏・秋・冬と季節によって違った味わいを楽しめるのが日本酒の魅力です。
日本のような気候が季節によって違う環境下では、一定品質のお酒を醸すのは難しいと言われます。
しかし、気候の違いを逆手にとり、季節ごとのお酒を楽しめるよう工夫されたのが日本酒。
季節ごとの味わいの違いや、季節に合った飲み方を紹介します。
日本だからこその味わいを、ぜひ楽しんでください。
「冬酒」はしぼりたてのフレッシュさが特徴の日本酒
しぼりたての日本酒は毎年12~3月に楽しめます。
立春の日にのみ販売される「立春朝絞り」や加水・加熱・ろ過をしない「無垢の酒」が手に入るのも同じ時期。
日本酒は米が収穫されてすぐ、雑菌の繁殖しにくい冬に醸されます。
そのため、冬は日本酒を最もフレッシュな状態で楽しむのに最適です。
フレッシュな冬の日本酒は「常温」がおすすめ
常温で日本酒を楽しむメリットは、お酒本来の味わいと風味を楽しめること。
日本酒ヌーヴォーともいえる冬の日本酒を味わうのにぴったりな飲み方です。
常温で日本酒を味わうときは、少量ずつ口に含み、だ液と混ぜるようにしながら口全体に広げるのがポイント。
日本酒の香りや甘みをイメージしながら味わってみましょう。
お酒初心者には、複数の日本酒を飲み比べてみるのもおすすめです。
日本酒の飲み比べは、味の違いがわかりやすく、日本酒がもつ味の基準を作りやすくなります。
初心者におすすめ!おいしい冬酒「〆張鶴 しぼりたて原酒」
火入れ・加水・アルコール度数調整なし、醸された日本酒そのものを楽しめます。
常温では、口の中に広がるお米の芳醇な香り、そしてふくよかな甘みが味わえます。
ただし、アルコール度数が20%と高い点がネック。
常温で味わったとき、アルコールのキツさを感じた方はロックで試してみてください。
甘みとアルコール感が薄れ、すっきりとした親しみやすい風味になります。
「春酒」はほどよい酸味&爽やかな味わいが特徴
春酒は3~5月に販売される日本酒です。
蔵元によって春純米・春和酒などと呼ばれ、桃色を基調にしたデザインのボトルが多く販売されています。
春は四季の中でも、新たな門出や出会いが多い季節。
新たな一歩を踏み出すときには、春酒と一緒に過ごす時間を楽しんでみてください。
爽やかな味わいの春酒は「冷や~常温」がおすすめ
冷蔵庫から取り出して1時間程度おくと、春酒らしい酸味とお米の甘やかな味わいが引き立ちます。
お花見に持って行きたいときは、常温のまま持って行きましょう。
常温のお酒は、冷やと比べて香り高さと甘やかさを感じるのが特徴。
桜の香りとの相性が良く、屋台料理のような濃い目の味わいともよく合います。
春らしいお酒をご堪能ください。
初心者におすすめ!淡いピンクの色合いが可愛い「尾瀬の雪どけ 桃色にごり」
甘く爽やかな味わいと、クリーミーな舌触りが特徴の日本酒です。
アルコール度数が10度と日本酒としては低めなので、お酒初心者や女子会にもぴったり。
お酒の色が桃色なのは、赤色酵母という特別な酵母で醸されたためです。
着色料は一切不使用のため、安心して飲めます。
全国新種鑑評会で連続金賞を受賞した実力をもつ蔵元の、間違いのない逸品です。
爽やかな風味を引き立たせるためにも、軽く冷やして味わってください。
「夏酒」は種類の豊富さと爽快感が特徴の日本酒
暑い日に喉を鳴らして飲むビールは確かに美味しいですが、キリリと冷えた日本酒を楽しむのもオツなもの。
さらに、日本酒には体温を高くする効果があり、必要以上に身体を冷やさず、健康・美容効果にも期待できます。
夏は蔵元が趣向を凝らした日本酒が多く、実は様々な日本酒を試す絶好のチャンスです。
スッキリ系・生系・原酒系・にごり系など幅広いうえ、最近では冷酒以外の楽しみ方にも注目されています。
暑い季節に楽しむ日本酒は「ロック・冷酒」がおすすめ
「冷酒はわかるけど、日本酒にロック?」と感じたかもしれません。
確かに通常の日本酒には、味わいや風味が薄まってしまうため、ロックはおすすめできません。
しかし、原酒であれば話は別です。
原酒は濃い味が特徴の日本酒で水で割って楽しむのが一般的。
ロックにしても味わいや風味を損ねずに楽しめますので、ぜひお試しください。
初心者におすすめ!軽快かつバランスの取れた風味が絶品「阿部勘 夏酒」
見た目も涼やか、喉元を爽やかに通り過ぎる夏にぴったりな日本酒です。
ラベルの裏側に描かれた金魚が特徴で、飲み進めるうちに金魚が少しずつ顔を出します。
後味が抜群に爽やか、日本酒の独特なモタつき感がほとんどありません。
甘みと酸味のバランスも良く、お刺身と一緒に味わうと止まらなくなります。
さらさらと喉元に落ちる心地よさを、ぜひ一度お楽しみください。
「秋酒」はまろやかさと円熟味が特徴の日本酒
秋を迎える頃に増えるのが「ひやおろし」です。
ひやおろしとは、火入れを1度だけ行い、蔵の中で品質を管理しながら常温で保管した日本酒のこと。
9~11月に出荷されますが、月ごとに違った味わいを楽しめるのが特徴です。
各月の味わいの違いは以下の通り。
- 9月:まろやかながらも軽快さを残す
- 10月:まろやかで深みが増す
- 11月:まろやかで熟しきった味わい
月ごとに試して、自分好みの味わいを探してみましょう。
秋酒は冷や・ぬる燗・熱燗、幅広い飲み方に合う
残暑厳しい9月は冷や、肌寒さを感じる10月はぬる燗、冬の訪れを感じる11月は熱燗と幅広く楽しめるのが秋酒の魅力です。
ぬる燗や熱燗を飲むとき、どれくらいまで温めるか迷った際は40~45度くらいをめやすにしましょう。
日本酒の味わいにモタつきを感じた場合は温度を下げ、コクが足りないと感じたら少しずつ温度を上げます。
40~45度は、日本酒の風味が最も引き立つ温度と言われているため、基準にしやすくて便利ですよ。
初心者におすすめ!まろみのある優しい味わい「天寿 ひやおろし」
夏を越したからこそのふくよかな香り、そして純米吟醸ならではの心安らぐ味わいの日本酒です。
お米由来の芳醇な味わいながらも、辛口タイプですので後味すっきり。
女性や初心者に人気があり、秋の味覚との相性も抜群です。
秋の味覚の中でもおすすめなのが「しいたけ」です。
しいたけはスーパーで年中販売されていますが、秋のしいたけは身が厚くジューシー。
グリルで焼き目がつくまで焼いたしいたけに、塩や醤油をお好みでかけて天寿と一緒に召し上がってみてください。
しいたけの濃厚な味わいと天寿のすっきりした後味がよく合い、ひと晩中飲み続けられますよ。
日本の四季を日本酒と一緒に楽しもう♪
日本酒は、居酒屋や自宅で何気なく飲んでいる方も多いのではないでしょうか。
しかし、日本酒は季節によって味わいも楽しみ方もそれぞれ違います。
豊富な日本酒を楽しめるのは日本に住んでいる特権です。
ぜひ、日本酒と一緒に季節の移ろいを味わってみてください。
きっと何気ない日常が華やかになりますよ。