暑くなってくると、飲みたくなるのはやはりビールです。冷房の利いた屋内で飲むのも良いけれど、開放感あふれるビアガーデンで飲めば、ビールのおいしさは大きく増します。
多くのビアガーデンで提供されるのは金色で苦くて白い泡のビール、いわゆるピルスナーが主体です。ピルスナーは日本の夏にぴったりの爽やかなおいしいビールですが、苦みや炭酸などがきつく感じて「ビールが嫌い」と思ってしまう人もいるでしょう。
ビールが嫌いではビアホールに行っても楽しくありません。
しかし、実はビールには100以上のスタイルがあり、金色で苦いピルスナーはそのうちの一つにしかすぎません。ビールの分類の仕方はいくつかありますが、国ごとに分けるとイギリス系、ベルギー系、ドイツ系と分けられます。これらの中でもベルギー系は特にバリエーションが多く、ベルギー国内で独自ブランドを持つ醸造所の数は165以上、種類は1000を越えます。
ホップの利いたとてもビールらしいものから、度数11%越えの高アルコールビール、赤い色と酸っぱい味をした果実酒のようなレッドエール、コリアンダーやオレンジピールを使った白ビール、フルーツを漬け込んだものなど、まさになんでもありです。
これだけの種類があれば、ビールが苦手と考えている人でも必ず気に入るものを見つけ、ビアガーデンを楽しめるようになるはずです。
今回は、屋外でベルギービールが楽しめるイベントとお店を紹介していきます。
BBC(ベルジアン・ブラッスリー・コート)
BBCは東京6店舗、大阪に1店舗を展開しているベルギービールレストランです。日本では初めて樽生のベルギービールが飲める店として誕生し、現在では5種の樽生ビールと60種以上の瓶ビールを飲むことが出来ます。ヒューガルデンホワイト(ベルジャン・ホワイト)、セゾン・デュポン(セゾン)、ステラ・アルトワ(ピルスナー)などの定番人気銘柄の他、パウエル・クワック、ロシュフォールNo.10など、少々通好みのものまでいろいろです。
料理もベルギー定番のフリッツ、ムール貝、トマトクルヴェット、ジビエ料理など、徹底的にこだわった物ばかりです。
基本的にはテーブルとカウンター席ですが、丸の内、八重洲、大阪の淀屋橋にはテラス席もあるので、夏には屋外でビールを楽しめます。テラスの席数は、丸の内40席、八重洲12席、淀屋橋20席です。
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ベル・オーブ
東京の六本木、豊洲、池袋の東京芸術場内にそれぞれ展開しているビアレストランです。
ベルギーまで出向いて直接交渉しつつビールを直輸入するスタイルを貫いており、100種類以上あるビールには、他ではなかなか見ることができない貴重な銘柄がいくつも用意されています。代表的なものには、セリス・ホワイト(ベルジャン・ホワイト)、グーデン・ドラーク・ヴィンテージ(フランダース・エール)、ピラート(ペール・ストロングエール)などがあります。
肉料理へのこだわりが強く、牛、豚、鶏のみならず、鴨、鹿、羊など、6種類の肉から好きな物をチョイスしてグリルの盛り合わせを出してもらえます。フリッツやムール貝のバケツ蒸しなど、定番のベルギー料理を始めとするメニューも充実しています。
豊洲と東京芸術劇場には屋外テラス席があります。東京芸術劇場のものは隠れ家的な空間で、ウッドデッキとパラソルの下でビールが飲めます。テラス限定の当日ビアガーデンコースでは、一人4500円、飲み放題は樽生2種で300円追加、3種で5150円となっています。
豊洲はレインボーブリッジが眺められる場所で、別プランとして湾内を周回する90分のクルージングの申し込みも可能です。豊洲でのビアガーデンコースは基本3150円で、飲み放題はビール3種とワインで2000円+、5種で2500+になります。
デリリウムカフェ
ベルギーに本店を持つビアカフェで、ブリュッセルにある一号店では2,000以上の銘柄が飲めることから、2004年にギネスブックに登録されました。
日本では銀座、赤坂、霞が関、新宿に店舗を展開し、近日仙台にもオープンするとのこと。直輸入のビールが40種以上あり、ベルギー産ワインも充実しています。主力のビールはペール・ストロングエールの「デリリウム・トレメンス」。店のシンボルにもなっているピンクの象は、酔っ払いが見る幻覚が由来です。このほか、トゥルブレット(ベルジャン・ホワイト)、ルル・トリプル(アビィ)などの他、ベルギー・チョコレート・スタウト(アビィ+アイルランドのスタウト+チョコレート)、ストライセ・ミッケラー(イギリスのIPA)など、海外生まれのスタイルをベルギーで再改良して生み出された銘柄がいくつもあります。
料理は特別な契約先から仕入れた門崎熟成肉料理、契約農家から届く有機野菜と、かなりのこだわりよう。オープンテラスがあるのは、霞が関にある「デリリウム トーキョー」と、新宿の「リトルデリリウム」です。各コースは料金追加で飲み放題が選択可能になり、+350円で2種、+850円で7種、+1350円で12種とお得になっています。
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ブラッセルズ
日本で初めてのベルギービール専門店として神田にオープンし、神楽坂、神谷町、大手町などに展開しています。新宿、内幸町、仙台にも派生店が存在します。
ベルギービール専門店だけあって、樽生ビールは10種類、瓶ビールは80種類と、品ぞろえはかなり豊富です。どれを選んでいいのかわからなくなった時は、店員さんに聞けば解説してくれるとのこと。自然発酵ビールのランビックにフルーツを漬け込んで二次発酵させた銘柄が充実しており、ブーン・クリーク、リンデマン・キュベルネなど、多様なフルーツビールを味わえます。
料理はベルギー風のフリッツやトマトクルヴェットの他、ベルギービール専門店でないと食べられない、牛頬肉のベルギービール煮込みなどがあります。 カウンターやテーブル以外にスタンディングスペースが主体で、ヨーロッパの飲み屋らしい立ち飲みが出来るのがポイント。大手町の店舗にはテラス席があるので、夏はビアガーデンのようにビールを楽しむ選択肢もあります。
ベルギービール・ウィークエンド 2016
ベルギービール・ウィークエンドは、ベルギーのビール、伝統料理、音楽を楽しむイベントです。ベルギー大使館の協力と、ベルギー各地の観光局やビール醸造所や商工会議所の後援を受け、本場のベルギーの文化を味わい尽くすことが出来ます。
毎年開催されていますが、2016年は日本とベルギーの友好150周年ということで、特に気合が入った年になっています。全国8か所の都市で順番に開催され、1か所につき期間は大よそ2週間程度です。飲めるビールの銘柄の数は会場によって異なりますが、最低でも88、多ければ115にもなります。
今年の開催は、名古屋、福岡、横浜、金沢、大阪、札幌、仙台、東京です。
7月現在では名古屋から札幌までの分はすでに終了していますが、仙台と東京ではまだこれからになります。
仙台
会場:勾当台公園
期間:7月14日(木)~18日(月祝)
平日16:00~21:00
土日祝11:00 – 21:00
HP:https://belgianbeerweekend.jp/ja/city/sendai/view
東京
会場:六本木ヒルズアリーナ
期間:9月16日(金)〜25日(日)
平日14:00~22:00
土日祝 11:00〜22:00
(初日16:00スタート、最終日は21:00まで。ラストオーダー終了30分前)
HP:https://belgianbeerweekend.jp/ja/city/tokyo/view
会場への入場は無料ですが、ビールや食事を楽しむには「スターターセット」を購入する必要があります。費用は1人当たり3,100円です。
スターターセットはビールを入れてもらうためのオリジナルグラスと、食事・ビール購入用のコイン11枚のセットです。コインがなくなれば5枚につき1,050円で追加購入できます。グラスは持ち帰りOKなので、再参加するときは追加コインだけを買うのも手です。
購入は当日でも出来ますが、前売りチケットを買えば特典が付いてくるのでお得です。
1名ならコイン収納用パウチ、4名のグループチケット(12,400円)はパウチに加えて食事の引換券が付いてきます。前売りチケットの購入はセブン・イレブン、サークルKサンクス、チケットぴあで行えます。
ラピュタ・ザ・フランダーステイル
関西屈指の豊富な種類のベルギービールが楽しめるビアレストランです。6種類の樽生ビールと、80種類以上の瓶ビールを楽しむことが出来ます。
ビールの種類はホップの苦みを最大限引き出したホペリングス・ホメル、ラ・トラップ・ブロンド(トラピスト)、セントルイス・プレミアムピーチ(ランビック)といった個性派ビール、ココナッツやバナナを漬け込んだフルーツビールなどがあります。各コースに1000~1500円をプラスすると、6~11種のビールの飲み放題プランを追加できます。
料理はベルギーらしく肉類にこだわり、様々な部位が選べるステーキがそろっています。また、アヒージョやイベリコ豚のハムなどのスペイン料理も豊富です。
三宮の「ラピュタ・ザ・フランダーステイル」では7月~9月限定で、オープンテラスで楽しめるビアガーデンコースを選ぶことが出来ます。席はローソファー、ローテーブルで、神戸の夜景を見ながらゆっくりと食事を楽しめます。
人数が多い場合はビアガーデン風のテーブルエリアが選択でき、30名までなら大丈夫です。オープンテラス利用コースは完全予約制で、実施時間は17:30~23:00までです。土日祝日前日は、18:30~20:00時と、20:30~22:30の二部制になっています。
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ベルギービールのスタイルを見てみよう
ベルギービールが飲める店やビアガーデンでは、数十種類の銘柄が選べるのが一般的です。たくさんあるのはうれしいけれど、どれを飲んでいいのか迷ってしまいます。出来れば自分の好みの逸品を引き当てたいところ。
そこで、代表的なベルギービールのスタイルと、その中で有名な銘柄について紹介します。
ひとまずこれらを押さえておけば、どれを飲めばいいのか全く見当がつかなくなることはないはずです。
ベルジャン・ホワイト(ホワイトエール、ヴェット)
ベルギービールといえばまずはこれ。普通の大麦麦芽に加えて小麦麦芽を使ったビールで、淡く濁った金色をしています。さらにオレンジピール、コリアンダーなどのハーブ類も使われており、ビール=苦いという概念を打ち壊す、優しく甘い味わいのビールです。
例:ヒューガルデンホワイト、ヴェデット・エクストラホワイト、ブロンシュ・ド・ゾネル
セゾン
昔の農家が、夏に水代わりに飲むために自家醸造していたビールです。春先に仕込んで夏まで長期熟成するので、腐らないようにホップが多めに使われており、きりっとした鮮烈な苦みがあります。それでいながら爽やかで華やかな香りがあり、喉が渇いた時の最初の一杯にはピッタリのスタイルです。
例:セゾン・デュポン、サンフーヤン・セゾン、セゾン・ヴォアザン
ストロングエール
アルコール度数が7~11%ある強めのビールです。味はかなりライトで、飲みやすい味をしていますが、炭酸で胃からのアルコール吸収が早まるので、油断するとかなり強烈に酔っぱらってしまいます。食事と一緒に楽しむのが良いでしょう。
色が金色であっさりした「ペール」と、色が褐色で濃い目の「ダーク」があります。
例:デュベル、デリリウム・トレメンス、ギロチン
トラピスト、アビィ
中世から続く修道院が作るビールの呼び名です。認定された8か所の修道院で、伝統的な製法で作られるビールのみが名乗ることを許されています。アビィは同様の手法を使って、修道院以外の醸造所で作られるビールです。濃色のデュッベルや、淡色のトリペルなどに分類されるアルコール度数が高めのビールが多く、ちょっと落ち着いたころにゆっくり楽しむのがお勧めです。
例:シメイ、ロシュフォール、ウェストマール
フランダース・エール
ベルギー・オランダ・フランス国境地帯のフランダース地方で作られる赤いビールです。原料は他のビールと同じ大麦とホップだけなのですが、特別な麦芽と酵母、オーク樽での熟成により、「色が赤い」「ベリーの香り」「酸っぱい」とまるで果実酒のような見た目と味わいをしています。
例:ローデンバッハ・クラシック、ローデングランクリュ、ドゥシャス・ド・ブルゴーニュ
ランビック
空気中を漂う酵母菌を取り込んで発酵を行わせる「自然発酵ビール」の中で、普通流通している唯一のビールです。乳酸菌も取り込んでいるために「酸っぱい」のが特徴で、腐敗を押さるために、苦みの飛んだ古いホップもたくさん使用しているので、チーズのような香りがする、かなり特徴的な味を持っています。
例:カティヨン・グーズ、ブーン・グーズ、ディママン・ブロンシュ
フルーツビール
ビールに果物を漬け込んでさらに発酵させたものです。使う果物はサクランボ、カシス、キイチゴなどのベリー類が主体ですが、リンゴなどもあります。果実酒だけど確かにビールな味で、苦いのが嫌いな人やおしゃれなお酒が好きな人にピッタリです。
ランビックにフルーツを漬け込んで、より飲みやすく甘くしたものもあります。
例:デュカシス、ベル・ビュー・クリーク、ブーン・クリーク
ベルギーのビールは個性が強く、これらのスタイルのどれにも収まらない物が多々あります。また、同じスタイルに属していても、銘柄ごとに味や香り、外見もかなり違ってきます。
ベルギービールが飲めるビアガーデンやレストランに行ったら、これまで自分が飲んだことがない種類にも挑戦して、ぜひ自分だけのお気に入り銘柄を発見してみましょう。