日本酒の種類は多岐にわたるため、選ぶのも一苦労。
日本酒初心者の方は、「どの銘柄を選べばよいのか」「何を基準に選べばよいのか」など疑問をお持ちではないでしょうか。
この記事では、日本酒入門におすすめな銘柄と失敗しない選び方を解説します。
きっと、日本酒デビューに飲んでみたい銘柄が見つかるはずです。
【入門編】日本酒は精米歩合によって3タイプに分類
日本酒とは、お米・米麹・水を原料とした、日本の伝統的なお酒。
日本酒は、精米歩合の規定によって、特定名称酒と普通酒の2種類に分類されます。
特定名称酒は、原料・精米歩合の基準を満たした日本酒であり、さらに下記3タイプに分かれます。
- 吟醸酒
- 純米酒
- 本醸造酒
この章では、特定名称酒の3タイプについて、それぞれの特徴を詳しく解説します。
タイプ1.きめ細やかな味わいの「吟醸酒」
1つ目は、吟醸酒(ぎんじょうしゅ)です。
吟醸酒とは、精米歩合が60%以下のお米を原料とし、吟醸造りという製法でつくられた日本酒のこと。
精米歩合とは、玄米の表面を精米(削って)して、残ったお米の割合のことです。
つまり、吟醸酒と呼ばれるには、お米の表面を40%以上削る必要があるわけです。
吟醸酒は、雑味の原因となる部分を精米しているため、フルーティーな香りときめ細やかな味わいを楽しめます。
また、吟醸酒には大吟醸酒と呼ばれる日本酒があります。
大吟醸酒とは、精米歩合が50%以下のお米を原料としたお酒。
吟醸酒よりも、余分な成分を多く削ぎ落としているため、より繊細でスッキリとした味わいが特徴の日本酒です。
タイプ2.お米本来の味わいが楽しめる「純米酒」
純米酒とは、醸造アルコールを使用せず、お米・米麹、水を原料として製造される日本酒です。
自然由来の醸造アルコールを添加しないため、お米が持つ本来の甘味・コクを楽しめます。
純米酒は、吟醸酒とはうって変わり、飲み応えが特徴。
そのため、揚げ物や味付けが濃い食事との相性が抜群です。
かつての純米酒には、精米歩合の規定がありましたが、2004年からこの規定がなくなりました。
これにより、近年では精米歩合ごとの特徴を活かした、特別純米酒・純米吟醸酒・純米大吟醸酒などが製造されています。
タイプ3.スッキリとした辛口が特徴の「本醸造酒」
本醸造酒とは、精米歩合70%以下のお米を原料としており、醸造アルコールが添加された日本酒。
本醸造酒の香り・風味は、純米酒に近いものの、よりスッキリとした辛口な仕上がりです。
また、精米歩合が60%以下のお米を用いた場合は、特別本醸造酒と呼ばれます。
精米歩合が60%以下という点では吟醸酒と同様ですが、特別本醸造酒は、吟醸造りを用いないため、製法が異なります。
初心者でも失敗しない日本酒の選び方
初心者の方が日本酒を選ぶ際は、ラベルに記載された3つの基準を元に選ぶとよいでしょう。
- アルコール度数
- 日本酒度
- 精米歩合
日本酒のアルコール度数は、15%前後が一般的。
ビールやカクテルよりも高めに設定されており、初心者の方は飲みにくく感じるかもしれません。
しかし、近年では日本酒の入門に適した、低アルコールの商品もあります。
低アルコールの日本酒は、アルコール度数が10%ほどに抑えられているため、初めての方でも飲みやすく感じるでしょう。
日本酒度とは、甘口・辛口かを判断する際の目安です。
数値が小さいほど含まれる糖分が多く甘口に、数値が大きいほど辛口の日本酒と判断できます。
甘口・辛口は好みが分かれるポイントですが、日本酒初心者の方は、刺激が少ないから挑戦するとよいでしょう。
数値の目安は、-3.5以下です。
精米歩合も、日本酒を選ぶ上での重要な判断ポイント。
精米歩合は、数値が低いほどスッキリとした味わいの日本酒、高いほどコクのある芳香な日本酒と判断できます。
日本酒初心者の方には、精米歩合が60%以下で、スッキリとした味わいの日本酒がおすすめです。
そのため、初心者の方におすすめな日本酒は次の通り。
- 低アルコール
- 日本酒度-3.5以下
- 精米歩合60%以下
日本酒のラベルを確認し、上記に目安に選びましょう。
入門者におすすめな日本酒銘柄10選
日本酒の入門に最適な、おすすめ銘柄を10個を解説します。
飲んでみたい日本酒が決まっていない方は、これから紹介する銘柄から選んでみてはいかがでしょうか。
おすすめ1.一ノ蔵 発泡清酒 すず音
- 生産地:宮城県
- アルコール度数:5%
- 精米歩合:ー
- 日本酒度:ー
「発泡清酒 すず音」は、アルコール度数が5%と低めの日本酒。
女性の方・お酒があまり強くないという方でも、飲みやすいはずです。
発泡清酒 すず音は、フルーティーな香りと甘酸っぱさ、そして、口の中で優しくはじける炭酸が最大の特徴です。
2012年〜2014年にかけて、「スパークリングSAKE部門」で3年連続金賞を受賞するなど、高く評価されています。
おすすめ2.松竹梅白壁蔵 澪 スパークリング
- 生産地:宮城県
- アルコール度数:5%
- 精米歩合:ー
- 日本酒度:ー
コンビニやスーパーでも見かける、「松竹梅白壁蔵 澪 スパークリング」。
日本酒入門の王道ともいえる松竹梅白壁蔵 澪 スパークリングは、絶妙な甘酸っぱさが特徴です。
また、アルコール度数も低いため、女性やお酒を飲み慣れていない方に最適です。
おすすめ3.大吟醸 SWEET EDITION 甘口
- 生産地:兵庫県
- 度数:16%
- 精米歩合:50%
- 日本酒度:-15
「大吟醸 SWEET EDITION 甘口」は、精米歩合50%まで磨き上げたお米だけを使用した日本酒。
香り高く、口の中いっぱいに広がる甘さが特徴です。
また、後味もスッキリしているため、食事と一緒に楽しんでもよいでしょう。
おすすめ4.白雪 純米にごり酒
生産地:兵庫県
- 度数:13.5%
- 精米歩合:70%
- 日本酒度:-18
「白雪 純米 にごり酒」は、濃厚なコクとまろやかな甘味が特徴の日本酒。
白雪 純米 にごり酒をそのまま飲んでもよいですが、サイダー割りや柑橘系のジュースでカクテルにしても美味しく楽しめます。
自分なりの日本酒アレンジを楽しみたいという方に最適な1本です。
おすすめ5.白川郷 純米 にごり酒
- 生産地:岐阜県
- 度数:14~15%
- 精米歩合:70%
- 日本酒度:-25
「白川郷 純米 にごり酒」は、1級清酒の2倍もの酒造米をふんだんに使用した日本酒。
お米の持つ本来の甘味・旨味を思う存分堪能できます。
お酒自体の味がしっかりしているため、揚げ物・味付けが濃い料理との相性は抜群です。
おすすめ6.久保田 純米大吟醸
- 生産地:新潟県
- 度数:15%
- 精米歩合:50%
- 日本酒度:±0
「久保田 純米大吟醸」は、香り高くスッキリとした甘さが特徴の日本酒です。
甘味・酸味・キレなど味のバランスが絶妙に調和しており、和食だけでなく洋食との相性も抜群。
和モダンな日本酒を堪能したい方に最適です。
おすすめ7.上善如水 純米大吟醸
- 生産地:新潟県
- 度数:15%
- 精米歩合:45%
- 日本酒度:+2
「上善如水・純米大吟醸」は、精米歩合45%まで磨き上げた上善如水の最高峰。
辛口タイプの日本酒で、キレがよく、深みのある味わいが特徴です。
雑味が一切ない上善如水・純米大吟醸は、日本酒初心者の方でも飲みやすく感じるでしょう。
おすすめ8.多満自慢 純米無濾過
- 生産地:東京都
- 度数:14~15%
- 精米歩合:70%
- 日本酒度:±0
「多満自慢 純米無濾過」は、約160年前から継承される、伝統技術で製造された純米酒。
お米が持つ旨も・甘み・風味を楽しめ、スッキリとした淡麗辛口が特徴です。
華々しい受賞歴を持ち、まさに伝統的な名酒といえます。
おすすめ9.特別本醸造 八海山
- 生産地:宮城県
- 度数:15.5%
- 精米歩合:55%
- 日本酒度:+4.0
「特別本醸造 八海山」は、優しい口あたりでスッキリとした味わいの日本酒。
料理との相性が非常によく、毎日の晩酌に最適です。
日本酒度が高く淡麗辛口のため、甘めのお酒が苦手な方におすすめです。
おすすめ10.春鹿 超辛口 純米
- 生産地:奈良県県
- 度数:15.5%
- 精米歩合:60%
- 日本酒度:+12
「春鹿 超辛口 純米酒」は、その名の通り、キレのある辛口が特徴の日本酒。
奈良県の有名な酒蔵が製造しており、全国にファンがいるほど有名な銘柄です。
春鹿 超辛口 純米酒は、あらゆる食材との相性がよく、食中酒に適しています。
初心者こそ知って欲しい!日本酒の3つの楽しみ方
日本酒をより一層楽しむための方法は、下記の3つです。
- 日本酒の温度を変える
- カクテルにして飲む
- 和らぎ水と一緒に飲む
それぞれの楽しみ方について、詳しく解説します。
楽しみ方1.日本酒の温度を変える
初心者の方が日本酒をより一層楽しむには、温度を変えて飲むことがおすすめです。
理由は、同じ日本酒であったとしても、温度によって香り・味わいの感じ方が大きく異なるため。
日本酒は、一般的に下記3種類の温度で楽しめます。
- 冷やして飲む:クセが抑えられ、スッキリとした味わいを楽しめる
- 常温で飲む:香りが引き立ち、日本酒の個性を楽しめる
- 温めて飲む:お米本来の香り・味わいを楽しめる
日本酒の温度を自分好みに調節し、香り・味わいの変化を楽しんでみてはいかがでしょうか。
楽しみ方2.カクテルにして飲む
2つ目の楽しみ方は、日本酒のカクテルです。
日本酒を柑橘類のジュースやソーダで割ることで、アルコール度数や独特の香りが抑えられます。
日本酒を初めて飲むという方でも、飲みやすく感じるでしょう。
日本酒カクテルの黄金比は、日本酒8:ジュース2だといわれています。
まずは、黄金比でわり、徐々に自分好みの1杯を目指すとよいでしょう。
楽しみ方3.和らぎ水と一緒に飲む
3つ目の楽しみ方は、日本酒を和らぎ水と一緒に飲むことです。
和らぎ水とは、日本酒を飲みながら一緒に飲むお水のこと。
洋酒の場合では、チェイサーと呼ばれるものです。
日本酒を和らぎ水を一緒に飲むことで、アルコールの吸収が抑えられます。
また、口の中がリフレッシュされ、次の一杯や食事の味を鮮明に楽しめます。
日本酒は、アルコール度数がやや高めに設定されているため、和らぎ水と一緒に楽しむとよいでしょう。
日本酒の賞味期限には要注意
日本酒のラベルやボトルを見ても、賞味期限が記載されていることはありません。
ただし、日本酒にも賞味期限が存在するため、期限内に飲み切るようにしましょう。
日本酒の賞味期限は次の通り。
- 本醸造酒・普通酒⇒製造年月から約1年間
- 吟醸酒・純米酒・生貯蔵酒⇒製造年月から約10カ月間
- 生酒(常温流通可能な商品)⇒製造年月から約8カ月間
引用:日本酒の賞味期限|月桂冠
上記は、未開封の日本酒を涼しく、日の当たらない場所で保管した場合のものです。
日本酒は、光や熱により劣化が進むため、保存場所には注意が必要です。
開封後の日本酒は、ボトルの口やキャップなどから劣化が進むため、常に清潔な状態を保ち、なるべく早く飲み切るとよいでしょう。
自分好みの銘柄で日本酒デビューを飾ろう
この記事では、初心者におすすめな日本酒銘柄について解説しました。
日本酒初心者の方は、アルコール度数・日本酒度・精米歩合の3つを元に、自分に合った銘柄を見つけていきましょう。
今回解説した10銘柄は、どれも一押しの日本酒。
銘柄選びで迷った際には、この10銘柄から選んでみてはいかがでしょうか?