ワインの原料はブドウだけじゃない?
「ワイン」と言えば、ブドウで造ったお酒を思い浮かべますよね?
確かに、一般的にはワインとは、ブドウを原料とする醸造酒のことを意味します。
実際に、ヨーロッパでは “ワインの原料=ブドウ”と法律で定められ、ブドウ以外の果物で造られた醸造酒は、ワインと名乗ることを許されていません。
ワインのアルコールは、ブドウの果実に含まれる糖分(ブドウ糖)が酵母の働きによってエチルアルコールと炭酸ガスに分解されるアルコール発酵によって生まれます。
ですから、ブドウ以外の果物でもワインを造れるはずなのに、なぜブドウが主流なのでしょうか?
ブドウは他の果物に比べ、甘み、酸味、渋みなどのバランスが良く、醸造酒の原料として必要な要素をすべて持ち合わせた理想的な果物であるということが主な理由です。
ブドウはただ甘いだけではなく、酸味や渋みもしっかりしていて、飲み込んだ後もしばらく余韻が口の中に残り続けます。
つまりブドウには美味しい醸造酒になる要素が備わっているため世界中に普及したと言えます。
加えて、ヨーロッパではキリスト教とワインが強く結びつき、特に黒ブドウから造られる赤ワインが人々の暮らしになくてはならないものになり、ワイン醸造がヨーロッパ諸国で重要な産業となって、ワインの原料と言えばブドウが一般的になったと言えます。
酒税法での分類
日本の酒税法では “ワイン”という言葉は定義されておらず、それに代わって “果実酒” と“甘味果実酒”という分類があります。
“日本ワイン”を名乗るためには「国産のブドウのみを原料とし、日本国内で製造されたもの」である必要がありますが、 “果実酒” または“甘味果実酒”として売り出すのであれば、原料にブドウ以外の果物を使い“ワイン”と名乗ることができます。
現在流通しているお酒は、「醸造酒」と「蒸溜酒」、「混成酒」の3つに分けられ、ワインは日本酒やビールなどとともに醸造酒に分類されます。
醸造酒のなかでも、日本酒やビールが「穀物」を原料とするのに対し、ワインは「果実(ブドウ)」を原料とします。
米や麦などの穀物を原料とする場合は「仕込み水」が必要となるため、水質が味わいを左右しますが、ワインの場合、原料となるブドウに多くの水分が含まれているので仕込み水は必要ありません
そのため、ブドウ自体の品質やおいしさがワインの味わいに直結します。
南北に長い日本には、各地に美味しいご当地フルーツがいっぱい。
そして、フルーツあるところに美味しいフルーツワインあり!
それでは、北から順にご紹介していきましょう!
メロンのワイン
最初のお酒は、北海道から。
余市町にある「はこだてわいん」が造る夕張産メロンを使ったワインです。
「はこだてわいん」はブドウから造るワインはもちろん、ハスカップやいちご、ざくろ、桃など様々なフルーツのワインを造っています。
まるでメロンをそのまま食べているようなフルーティで濃厚な味わい。
アルコール度数8%とやや低めの甘口フルーツワインです。
りんごのワイン
次は、青森県!
言わずと知れたりんご王国ですね。
「シードル」とはりんごで造ったスパークリングワイン。
「シードル」というのはフランスでの名称で、イギリスやニュージーランドでは「サイダー」と呼ばれています。
日本でも、青森や長野等のりんごの産地で造られるシードルが増えてきています。
日本産のシードルは、ふじや紅玉といった糖度の高い食用りんごを使うことが多いのが特徴。繊細ですっきりした味わいになります。
「タムラ・シードル」は、青森県弘前市のタムラファームが造るシードル。
サンふじ、王林、ジョナゴールドをブレンドしており、サンふじのすっきりした極上な甘さ、王林の上品な芳香、そしてジョナゴールドのほど良い酸味が一体となった贅沢な味わい。
グラスに注ぐとりんごの爽やかな香りが広がると共に繊細な泡が華やかに立ち上ります。
上品な酸味と香り高く甘いりんごの味わいが魅力のスパークリングワインです。
桃のワイン
続いては、2019年の桃の生産量が全国第1位の山梨県の桃です。
フジッコワイナリーが造る「クラノオト」は、発酵を終えたばかりの無ろ過のワインの味わいを味わってもらいたいと、いち早く瓶詰めして桃の豊かな香りと味わいを封じ込めた濁りタイプの桃ワインです。
桃を丸かじりしているような濃厚な果実味を感じることができ、甘さと酸味のバランスも抜群です。
きりりと冷やして食前酒やデザートワインとして楽しみたい1本です。
梨のワイン
次は中国地方に移り、鳥取の梨です。
鳥取県は、2019年の梨の生産量は全国第5位ですが、一世帯あたりの購入量・購入金額は1位となっています。
酸味と甘さのバランスが良く、シャキシャキとした食感の「二十世紀梨」をその梨酵母で醗酵させた、ほんのり柔らかくフルーティなワインです。
ジューシーでみずみずしいという形容がぴったり!
アルコール度数は8度と低め。繊細な味わいなので、お食事の美味しさを引き立ててくれる食前酒におすすめです。
ワイン好きにもワイン初心者にも
ブドウで造ったワインには香りや味わいに複雑さがあり、その醍醐味である一方、慣れていない人にとっては理解が難しかったり、美味しく感じられないケースもあるかもしれません。
しかし、フルーツワインなら醸造酒としてのワインの良さも感じつつ、素材の美味しさがそのまま楽しめ、シンプルで楽しみやすいのではないでしょうか。
ワイン好きな方もワイン初心者も一緒に楽しめるので、ギフトにホームパーティーにセレクトしてみてはいかがでしょうか。