レモンハートのマスターが噺家を目覚めさせる1本「萬歳楽 白山」

レモンハートのマスターが噺家を目覚めさせる1本「萬歳楽 白山」

BARレモンハート1巻表紙

今回は「BARレモン・ハート」(古谷三敏)から、新たな1本を紹介したいと思います。

コミックス1巻「酒落語」では、マスターが常連の松田さんを誘って寄席に出かけます。と言うのは、お目当ての落語家の噺を聞くためで、何でも酒落語が得意なのだとか。マスターとしては聞き逃せないところでしょう。

「酒落語」とは、お酒の登場する落語のことで、お酒を飲むしぐさや、しらふの時と酔った時の口調の違いの演じ分けが見どころです。「これが酒落語だ!」との明確な区分はないのですが、殿様の命令で酒を取り締まっている役人をやり込める「禁酒番屋」、父と息子で禁酒をするものの、結局、親子ともども飲んでしまう「親子酒」、お酒をごちそうするつもりが用を言いつけて怒らせてしまう「ひとり酒盛り」などがあります。

落語を聞きに行ったマスターですが、どこか納得しないままに帰ってきます。そこに訪れたのが、当の三升家勝治師匠。自信を持って演じていたのに、師匠から駄目出しを食ったのだとか。

白山1

そこで言われたのがこの言葉です。

白山2

こんなことがあるのでしょうか。テレビのグルメ番組などで、美味しそうな料理が出てくると、食べたくなってしまうことがあります。「酒飲み」であれば酒が飲みたくなるのかもしれませんし、それが酒落語の名人となれば酒屋に行列ができても不思議ではない……のかもしれません。

もちろん勝治師匠も挑戦するのですが、あえなく失敗しました。そこでレモンハートに来た、というわけです。

そんな勝治師匠にマスターが勧めたのが、「加賀の白山」です。「加賀の」とありますが、現在はラベルが変わって「萬歳楽 白山」となっています。かつての加賀の国、現在の石川県に本社を置く小堀酒造店が造っているお酒で、同社が明治の中ごろに起こした「萬歳楽」のブランドを掲げています。

同社のホームページによると「白山市域は、国税庁から日本ではじめて日本酒の生産地として『地理的表示』の指定を受けました」とのこと。酒税を取られるのは癪ですが、そんな国税庁も認めるブランドなのでしょう。

なぜマスターが勝治師匠に白山を勧めたか。これについては漫画では明らかにしていません。マスターならではの経験と勘なのでしょう。そして白山を飲んだ勝治師匠の反応はこの通り。

白山3

絶句した後、「旨い!!」と一言。酒の旨さを知った勝治師匠は、この後、化ける(芸人として腕前が上がる)のですが、その様子はぜひ漫画でご覧ください。

さてもう一度この場面を見てください。

白山2

「ははぁ、あれだな」と分かる人は古谷三敏先生のファンでしょう。漫画では、ある作品が別の作品につながっていることがあるのですが、こちらも別の作品につながっているようです。酒つながりですので、機会があれば紹介したいと思います。

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BARレモン・ハート

作者:古谷三敏
出版社:双葉社
連載:漫画アクション
既刊29巻

参考:萬歳楽ホームページ

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