NHK朝の連続ドラマで放送中の「マッサン」では、ニッカウヰスキーの創業者、竹鶴政孝氏をモデルにしていますが、一足も二足も早く漫画で取り上げたのが、小学館「ビッグコミックスピリッツ」で連載中の「美味しんぼ」(雁屋哲、花咲アキラ)です。
漫画は、主人公である新聞記者の山岡士郎が、究極のメニューを目指して、食文化や料理について探究を続ける内容ですが、コミックス70巻の第4話「スコッチウィスキーの真価」では、6回に渡ってウィスキーをテーマにしています。様々なウィスキーも登場する中から1本紹介しましょう。
食前酒に合うスコッチウィスキー探し
漫画の起点になったのは3つの出来事です。1つ目は、山岡の上司がスコッチウィスキーの値段が下がってびっくりしたこと。2つ目は、友人達との集まりの中でスコッチウィスキーについて知らないことがあると気づいたこと。さらに食事会の場でスコッチウィスキーの無知について指摘されたことです。そこでひと月の猶予を貰い、食前酒に合うスコッチウィスキーを探すことを目的に、10人以上の大所帯でスコットランドを訪れることになります。
6回に渡った連載では、スコッチウィスキーの歴史や作り方、現在抱える問題まで、様々な話題が登場します。全てを紹介したいところですが、それは漫画を読んでいただくとして、その中から1つ紹介しましょう。
リチャード氏が教える「ウィスキーの正しい飲み方」
漫画に登場するのが「ホワイト&マッカイ」のマスターブレンダー、リチャード・パタソン(Richard Paterson)氏。祖父や父親もウイスキー業界で働いていたリチャード氏は、17歳で業界に入り、以来ずっとウィスキー一筋の人生です。2008年には著書「Goodness Nose」を出版しました。
リチャード氏が一行に教えるのが「ウィスキーの正しい飲み方」です。漫画によると「水は室温」「ウィスキーと水の量は1対1」とあります。リチャード氏の言葉で「こうすると香りがほぐれて一番よく立つんです。アルコール度も20度前後になって、じっくりと味わえる」のだとか。さらに「口に入れたら、すぐに飲み込まないで、ウィスキーを噛んでください」ともあります。ぜひ皆さんも試してみてください。
「じゃあ、他は正しくない飲み方なのか」と思うかもしれませんが、香りや味わいを一番知ることのできる飲み方、くらいに考えてはいかがでしょうか。好みもいろいろありますし、暑い日はロックで、寒い夜はお湯割りに、なんて飲み方でも十分に楽しめると思います。
スコッチウィスキーという文化を日本にもたらした竹鶴政孝氏
その後、一行が向かったのは、スコットランドのほぼ中央にあるグラスゴー市のグラスゴー大学です。グラスゴー大学に留学し、同時にウィスキーの醸造を学んだのが、先の竹鶴政孝氏です。
漫画では、7ページに渡って竹鶴政孝氏の業績に触れ、「素晴らしいスコッチウィスキーという文化を日本にもたらしてくれた竹鶴政孝の偉業は、他の学者や芸術家の業績に一歩もひけをとらない価値のあるものだよ」として、最後に竹鶴政孝の似顔絵を載せています。
さて話しの発端の1つとなっていた食前酒に合うスコッチウィスキーですが、スコットランドから戻ってきた一行に対して、主人公の山岡は「もう決めてしまった」と語ります。
報告の場では、ホワイト&マッカイの他、ラフロイグ、ボウモア、バランタイン、グレンフィディックなど、名だたる銘酒が次々に登場します。その中からどんなウィスキーを選んだのか。ぜひ漫画をご覧ください。
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美味しんぼ
原作:雁屋哲、作画:花咲アキラ
出版社:小学館
連載:ビッグコミックスピリッツ
既刊111巻