今回紹介するのは、KADOKAWAエンターブレイン「ハルタ」で連載中の「ルドルフ・ターキー」(長蔵ヒロコ)です。
1950年代のアメリカ、ラスベガスを思わせる架空の娯楽都市ゴンドランドが漫画の舞台。そこで市長代理を務める色男がルドルフ・ターキーです。市長代理を務めるくらいですから「できる」男ではあるのですが、一癖もふた癖もあるのは間違いありません。
ちょっと時代背景を振り返ってみましょう。禁酒法が廃止されたのが1933年、第2次世界大戦が終わったのが1945年、朝鮮戦争があったのが1950年から53年です。
世界はアメリカとソ連を中心にした東西対立が進みつつあり、基本的にアメリカはイケイケドンドンの状況が続くのですが、公民権運動などもあって穏やかに発展しているわけではありません。
ちなみにアメリカの大統領は、33代トルーマン(1945~53年)、34代アイゼンハワー(53~61年)です。その後、歴代大統領の中でも人気ナンバー1とされるジョン・F・ケネディが登場します。
そんな時代でも、市長代理でもあり財閥の坊ちゃんでもあるルドルフであれば、何でも思うがままになりそうなものですが、「ラパン姐さん」と呼ぶ片思いの相手だけはどうにもなりません。
せいぜい一杯奢るくらい。
何を飲んでいるのか。スコッチかバーボンか。それとも他のお酒か。ビンの形で多少は絞り込めるんですが、今一つはっきりしません。
しかし別のうらやましい状況に出てくるのは、スコッチウィスキーでした。
まさに酒池肉林なのですが、本人はため息をついてるんですよね。しかもこの前には「モテねーなぁ~」などと抜かしてやがります。世界の男性の大半を敵に回しても不思議ではない状況です。
下の方にチラッと見えるのが、おそらく「グレンファークラス」かなと。ラベルにある数字から判断すると25年物ですので、現在でも1本1万円前後。1950年当時の値段は分かりませんが、為替や物価を比較すれば、1本10万円くらいと考えれば妥当かもしれません。しかも店売りではなくて、こんな場所で出てくるお酒ですから、その2倍、3倍にふっかけられていてもおかしくはないなと。
そんなグレンファークラスは、スコットランドにある老舗の蒸留所で作られています。創業は1836年。日本だと江戸時代の末期、外国船の来訪で騒がしくなってきた頃です。ただしこの創業年は合法的なものであって、税金逃れを目的に、それ以前からもウイスキーの製造は行われていたようです。
名前の「グレンファークラス(Glenfarclas)」とは、ヨーロッパの古い言語であるゲール語で「緑の草が茂っている谷」を意味する言葉で、蒸留所のある土地の自然環境を表しています。
スコッチウィスキーとして名のある蒸留所にもかかわらず、現在では珍しくなった家族経営を維持すると共に、銘柄は「グレンファークラス」のみと、こだわりを守り続けているのが特徴の1つです。
漫画に登場する25年を含めて、15年以降のものは少々高めですが、10年や12年ものであれば4,000円くらいから購入可能です。1つ味わってみてはいかがでしょうか。
漫画の主人公、ルドルフ・ターキーは、恋に酒にと暴れ続けるのですが、傲慢な性格はそのままに、日本にもやってきます。どんな活躍をするか、知りたい人は、ぜひ漫画をご覧ください。
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ルドルフ・ターキー
作者:長蔵ヒロコ
出版社:KADOKAWA
連載:ハルタ
既刊3巻