東京の醤油ラーメンや札幌の味噌ラーメン、福岡のとんこつラーメンなどいろいろな種類のあるラーメンは、日本で独自の発展を遂げ、多くの愛好家がいることでもよく知られる料理です。
その中に鍋焼きラーメンという料理があるのをご存知ですか?
今回は鍋焼きラーメンにとはどんなラーメンか、お取り寄せできる鍋焼きラーメンについてもご紹介していきます。
高知県須崎市のご当地麺、鍋焼きラーメン
鍋焼きラーメンは、高知県須崎市の飲食店で提供されているご当地ラーメンで、鶏ガラスープを使用した醤油味。
土鍋でグツグツと煮立った状態で提供されることから、鍋焼きの名がつきました。
須崎市内にある谷口食堂で戦後すぐに発祥し、出前をするときの保温のために、丼ではなく琺瑯の鍋を使用したことがその始まりとなりました。
土鍋を使うようになったのは、谷口食堂のすぐ近くにあるみつだ食堂で、あともう1軒の水野食堂を加えた3軒が、鍋焼きラーメンの老舗として知られています。
当時は夜遅くまで店が開いていることから、若者が集う場となり、銭湯の帰りに立ち寄って食べるのが流行したといいます。
プロジェクト発足で広まった鍋焼きラーメン
しかし、鍋焼きラーメンは今のように多くのお店で提供されるものではありませんでした。
契機となったのは2002年のこと。
須崎市の名物として売り出そうと考えた、市役所や商工会議所の有志が発足させた「鍋焼きラーメンプロジェクトX」による、積極的な広報が始まったことでした。
今ではラーメン店だけでなくさまざまな飲食店で鍋焼きラーメンが提供されており、約30店舗がしのぎを削っています。
いろいろなお店を食べ歩くのも楽しく、シンプルでありながらも奥の深い世界を感じることが出来ます。
鍋焼きラーメン7つの定義
土鍋で出てくる鶏ガラスープの醤油ラーメンということ以外にも、鍋焼きラーメンには決まったルールがあります。
鍋焼きラーメンプロジェクトXでは、鍋焼きラーメンの7つ定義を定めています。
- スープは親鳥のガラを使った醤油ベースであること
- 麺は細麺ストレートで、少し硬めで提供すること
- 具材には、親鳥の肉、ねぎ、生卵、すまき(ちくわ)を使用すること
- 器は土鍋(琺瑯や鉄の鍋)を使用すること
- スープが沸騰した状態で提供すること
- 古漬けのたくあんが添えられること
- すべてにおもてなしの心を込めること
これらの条件を満たし、提供される熱々の鍋焼きラーメンは須崎市に根付いた食文化のひとつとして多くの人に愛され、今では空港の売店やスーパーなどでも買い求めることができるようになりました。
鍋焼きラーメンの魅力とは
さて、実際に鍋焼きラーメンはどんな味かというと、とてもシンプルで素朴な味わいながらも奥行きのあるラーメンです。
どの店も元祖である谷口商店の流れをついだ味わいではあるものの、スープの味が微妙に違うので、好みの店を見つけるのも楽しいといえます。
鍋焼きラーメンを注文するときはライスも一緒に注文するのが定番。
お店によっては親鳥の唐揚げを提供していることもあるので、それを一緒に頼んでもいいかもしれません。
注文してしばらくすると、グツグツと音を立てながら、土鍋に入ったラーメンが提供されます。
親鳥の鶏ガラを使ったスープは味わい深く、熱々の土鍋からたぐるコシのある麺は、土鍋でグツグツと煮立てても伸びない専用の麺を使っています。
添えられた古漬けのたくあんを間に挟むことで口の中はリセットされ、食べ飽きることなく最後まで楽しむことが出来ます。
麺を食べ終えたらスープにライスを加え、スープも残すことなくしっかりおなかの中へ。
鍋焼きラーメンは体も心もホカホカに温まる須崎市のソウルフードです。
現地に行くのが難しい今の時期、お取り寄せをして楽しむのもいいかもしれませんね。