今回は、以前に紹介した「愛がなくても喰ってゆけます。」(太田出版発行、よしなが ふみ)から、別のお酒をお勧めしたいと思います。
簡単に説明しておきますと、同作品は主人公の女性漫画家であるYながFみさんが、いろんなお店を紹介する内容で、漫画自体はフィクションながら、実在するお店が登場します。
6話で銀座にあるスイーツ専門店に行くYながさん、アシスタントのS原さん、そしてM脇さん(髪の長い女性)。
この微妙な雰囲気に、何かあるなと感づいた人も多いはず。S原さんはM脇さんを好きなのだそうです。
そこで15話では、Yながさんの密命により、仕事に関する相談の名目で、S原さんとM脇さんがデートをすることになります。映画を見終わって、焼き鳥メインの居酒屋で、ご飯を食べることになりました。
ここで登場するのが「萬膳」です。S原さんのセリフにある通り、鹿児島県霧島市の万膳酒造で製造している芋焼酎です。
名前の「萬(まん)」は全ての意味で、「膳(ぜん)」は食のこと。つまり「全ての食をうるおす」との意味があるそうです。
「今時珍しい」と書いては怒られるかもしれませんが、同社にはホームページがありません。
ですので「萬膳」に限らず、同社のお酒を飲みたいなと思った人は、萬膳が置いてある飲み屋に行くか、通販も含めて売っている酒屋を探して買うことになります。
焼酎は未経験らしいM脇さん、一口飲んで……
「飲みやすい!!」「キレがある!」「おいしい!!」の3連発です。一口だけで済んだのかが気になるところです。さらに食事が進む中で、S原さんが日本酒「一ノ蔵」も注文します。
S原さんは「うまい!!」と満足げ。「それも一口~」のM脇さんの感想が描かれていませんが、おそらく堪能したことでしょう。
「一ノ蔵?どこかで読んだような……」と思った方、サイトビューありがとうございます。4月6日に掲載した「本当に日本酒?と「すず音」に感動「おとりよせ王子 飯田好実」」で登場した発泡清酒「すず音」も一ノ蔵で造られたお酒です。
この後の展開は、S原さんもM脇さんも、何とも言い難いオチになってますので、ぜひ漫画をご一読ください。
そしてまたしてもいい機会ですので、「萬膳」と「一ノ蔵」を味わってみました。
萬膳のラベルを見て分かったのは、原材料に使っている麹米(秋田県産ひとめぼれ、生産者 工藤司氏)、さつまいも(鹿児島県産黄金千貫、生産者 大脇義隆氏)の生産者名を記してあること。さらに麹菌は河内麹菌 NH黒麹で、水は霧島レッカ水超軟水とも書いてあります。
「一ノ蔵」の方はいくつもシリーズがあるのですが、購入したのは無鑑査本醸造辛口です。「萬膳」と「一ノ蔵」のどちらも720mlビンなのですが、「萬膳」の方が値は張りました。
まず「一ノ蔵」ですが、飲むとスンナリ口から喉を通る味わいです。私個人は甘口が好きなのですが、「これも良いな」と思いました。他の「一ノ蔵」シリーズの「甘口」「超辛口」、更には「純米」などと飲み比べてみたら、もっと違いを感じるかもしれませんね。ただ懐具合もありますので。
そして「萬膳」ですが、ごめんなさい。私にはアルコール度数25%は、ちょっと強いです。そのまま飲んでみましたが、少し抵抗を感じました。
既に4月でお湯割りの気分でもなく、某社のレモンソーダで割ってみました。萬膳のファンには「そんなことを……」と怒られそうですが、合わないままに無理して飲むのも、萬膳に申し訳ないかなと思います。
そうして飲んだ感想としては、芋焼酎にありがちの癖が全然なくて飲みやすかったです。M脇さんもそれが良かったのでしょうか。この辺りの、とっつき易さも、萬膳人気の1つなのかもしれません。
芋焼酎だけでなく、焼酎そのものに抵抗がある人は、一度、萬膳を飲んでみてはいかがでしょうか。
愛がなくても喰ってゆけます。
作者:よしながふみ
発行:太田出版
■参考
鹿児島県酒造組合「万膳酒造」紹介ページ:http://www.tanshikijyoryu-shochu.or.jp/archives/有限会社万膳酒造/
「一ノ蔵」ホームページ:http://www.ichinokura.co.jp/index.html