今回は「神様のカルテ」から国産ワインを紹介したいと思います。
「小説?それとも映画?」と思う人がいるかもしれません。確かに夏川草介さんによる小説があり、嵐の櫻井翔さん主演で映画化もされていますが、小学館「ビッグコミック」で、石川サブロウ先生による漫画にもなっています。
物語の舞台は、長野県にある本庄病院。主人公の栗原一止(くりはら いちと)は、そこに内科医として勤務しています。今の病院は、人手不足のため忙しいところが多いと聞きますが、本庄病院も栗原医師も、途切れることのない患者を相手に、忙しい毎日を送っています。
漫画の最初の方では、内科医である栗原医師が、「慢性的医者不足」のため、救急医として奮戦する様子が描かれています。
内科医としての栗原医師は「自分で言うのもなんだが、百年に一人の逸材と言っても過言ではないであろう」と自負するものの、救急医としては「私がいくら骨折や打撲は専門外だと叫んでも、耳を貸すものはいない」と不安たっぷり。
押し寄せる患者を「内科医の私と研修医二人で対処する。無茶と思うであろう。無茶なのである。しかしその無茶を、なんとか切り回しているのが、地方病院の現状と言うしかない」のように、諦めにも似た境地で頑張っています。
そんな栗原医師のストレス解消の1つがお酒です。奥さんや同僚達、友人知人と酒を酌み交わすシーンが、度々登場します。
コミックスの表紙には、4人のキャラクターが描かれており、男性3人が赤ワインの入ったグラスを手にしているのが分かるでしょう。
手前にいるパイプをくわえた下駄ばきの男性が、あまり売れない画家の「男爵」。もちろんあだ名です。後ろにいる眼鏡をかけた人が信濃大学の大学院生「学士殿」。そして栗原医師と妻でカメラマンの榛名(はるな)さんです。4人は同じアパートの住人でもあり、飲み仲間でもあります。
コミックス1巻の後半、とある事情により、学士殿がアパートを出ていくことになります。そこで酌み交わされるのが「五一わいん」です。
長野県塩尻市にある林農園で造られる「五一わいん」。同社のホームページによると、果樹栽培を始めたのが1911(明治44)年、ワイン造りを始めたのは1919(大正8)年と100年を超える歴史があります。ワインやブランデーなど、いろいろなお酒を製造・販売する中で、1975(昭和50)年に創業者の名前、林五一(はやし ごいち)を由来とする「五一わいん」がスタートしました。
最後の日、学士殿が「五一わいんのプレミアムがあります。今夜は付き合っていただけますか?」と持ち出しているのですが、ホームページを見ると、プレミアムの赤ワイン「桔梗ヶ原メルロ 2011」は720mlで5,400円。学士殿にとっては秘蔵の1本だったのではないでしょうか。
お別れの宴会では、「杯をかさね、哲学を語り、『黄鶴楼』を吟じ、寂寥をぶつけ、夜は深々と更けてゆく」「一本が空き、二本が空いた、ふと気が付けば学士殿が泣いていた」「そう思ったら私も泣いていた」と、「今生の別れというわけでもない」としつつも、やはり涙なしにはなりませんでした。
なお「黄鶴楼(こうかくろう)」とは中国にある建物で、唐(618~907年)代の詩人、崔顥(さいこう)が、黄鶴楼を題材にして詩を詠んでいます。
さて「五一わいん」ですが、漫画に出てくる高めのプレミアム以外に、720mlで1,000円台のお手頃価格なレギュラーシリーズもあります。国産ワイン100年の歴史を味わってみてはいかがでしょうか。
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神様のカルテ
原作:夏川草介
作画:石川サブロウ
発行:小学館
全2巻
■参考
林農園ホームページ:http://www.goichiwine.co.jp/