辛いものにビールが合う理由とは?「営業の牧田です。」

営業の牧田です表紙

今回は、講談社「週刊モーモング」に連載していた「営業の牧田です。」から、お酒に関するウンチクを紹介します。

タイトルとコミックスの表紙で分かると思いますが、ビール会社の営業マンを主人公とした漫画です。この漫画が連載されていたのは、2007~2008年。そこから10年も経ってはいませんが、内容に当時を感じさせるものがあります。

牧田さんが勤めるエルビス酒造は、「ビール一筋でのし上がってきた名門中の名門」なのだとか。日本の大手ビールメーカーと言えば、アサヒ、キリン、サッポロ、サントリーですが、もはや「ビール一筋」の会社はどこにもありません。

洋酒が出発点のサントリーは元より、アサヒ、キリン、サッポロも、事業部門やグループ会社でビールを作ってはいるものの、ウィスキーにワインにジュースにお茶にと、いろんな飲み物に手を広げています。中には加工食品や医薬品の分野にまでも。お酒で培った技術や営業実績を、他の分野にも有効活用しているのは事実ですが、ビールだけでは生き残れない厳しい経営環境もありそうです。

もう1つ時代を感じさせるものが、ビールの種類です。

エルビス酒造では、定番のビール「エルビス」の他に、新ジャンルの「ずびなま」、新ジャンルかつ新製品の「エターナルグリーン」が登場し、販売戦略をめぐって、開発部門と営業部門がやりあったり、「ニセモノのビール」のような言葉が飛び交ったりしています。

ビール、発泡酒に続いて、第3のビール第1号となったサッポロ「ドラフトワン」が売り出されたのは2004年。そしてキリン「のどごし生」、アサヒ「アサヒ新生」などが発売されました。

ただし2006年、酒税法が改正されたことで、それに対応した商品が、2007年頃から新たに発売されています。わずか7~8年前ですが、まだまだ「ニセモノのビール」のような認識が強かった頃です。漫画では、季節ものの「秋風味」もチラッと出てくるのですが、最初だけでスッパリ消えています。まぁ、季節商品の宿命ですね。

色々あっても売らなくてはいけないのが、営業マンの宿命。牧田さんは営業先のスーパーで、店長相手に一工夫凝らした売り込みをします。

営業の牧田です01

と言うわけなのだそうです。水をガブ飲みしてもダメな辛さが、ビールの一口でスッと消えていくのには、そんな訳があったんですね。

アルコールなら、サワーでもワインでも良いのかもしれませんが、ビール特有な苦みとの相性もありそうです。

営業の牧田です02

売り込みに成功した牧田さん。販売スペースの良いところを確保できて大満足。漫画では直後に、お客さんが「エターナルグリーン」を手に取る場面なども見られます。

さて「エルビス酒造」は架空の会社で、「エターナルグリーン」も漫画の中だけのビールなのですが、似たものを探してみました。サッポロ「グリーンアロマ」、キリン「淡麗グリーンラベル」、アサヒ「スタイルフリー」、サントリー「金麦」です。

「最初の2つは”グリーン”つながりとして、あとの2つは?」と思うかもしれませんね。写真をご覧ください。

営業の牧田です03

「グリーンアロマ」は、ちょっと違いますが、他の3つは良く似ています。白と緑を基調色にデザインすると、こんな感じになってしまうのでしょう。他にも金、黒、黄などを基調色にデザインしたビールがゴロゴロしています。やはり競争の厳しさなのでしょう。

4つの成分や特徴は次の通り。

サッポロ「グリーンアロマ」

リキュール(発泡性)、糖質80%オフ(0.2~0.6グラム)、27キロカロリー
アルコール度数:4%
材料:麦芽、ホップ、糖類、水溶性食物繊維、エンドウたんぱく、コリアンダーシード、オレンジピール、スピリッツ(大麦)

キリン「淡麗グリーンラベル」

発泡酒、糖質70%オフ(0.7~1.1グラム)、29キロカロリー
アルコール度数:4.5%
材料:麦芽、ホップ、大麦、コーン、糖類

アサヒ「スタイルフリー」

発泡酒、糖質ゼロ、24キロカロリー
アルコール度数:4%
材料:麦芽、ホップ、糖類、カラメル色素、酵母エキス、大豆たんぱく

サントリー「金麦」

リキュール(発泡性)、糖質75%オフ(0.5~0.8グラム)、33キロカロリー
アルコール度数:4%
材料:麦芽、ホップ、糖類、食物繊維、スピリッツ(小麦)

「グリーンアロマ」は、香りのアピールポイントが材料にも表れています。「淡麗」は、ややアルコール度数が高く、材料も一番ビールに近い感じ。「スタイルフリー」はカロリーの低さがダントツ。「金麦」は「天然水仕込」をアピールしています。

飲み比べたところ「淡麗グリーンラベル」が一番好みでした。ただ「私の好み」ですので、コクとか、キレとか、喉越しとか、後味とかは分かりません。強いて言えば、スッキリ飲めたなってくらいです。

牧田さん達の努力もあって、「エターナルグリーン」は上々の売れ行き、駅中の売店でも大人の目線の位置に並ぶまでになりました。

今ではすっかり定着した第3のビールの陰には、各メーカーにいる何千人(何万人?)の「牧田さん」が頑張ってきたはず。そんな頑張りに敬意を表しつつ、キムチ鍋などで1杯いかがですか?

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営業の牧田です。

作者:かわすみひろし
発行:講談社

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