今回は、以前にも紹介した「茶柱倶楽部」(青木幸子)から、とうもろこしの焼酎などを紹介したいと思います。
漫画は、お茶が大好きな主人公、伊井田鈴(いいだ すず)さんが、宝くじの当選金を元手に改造した車「茶柱倶楽部」号で、お茶の縁を求めて全国を回る姿を描いています。
人探しから始まった旅は、様々な人との出会いを楽しむものになり、現在はお茶の一大イベントを開催しようと考えつつ、全国を回り続けています。
第三十二煎「器に満たすのは」では、九州の宮崎県が舞台。
高千穂峡で物思いに沈む女性と出会った後、日南海岸で同じ女性と再会します。実は双子の姉妹で、2人とも同じ出来事が原因で悩んでいたことが分かります。
さらに普段の彼女がお酒を飲んでいると聞いた鈴さんは「一緒に晩酌しませんか……?」と誘います。そこで登場するのが高千穂酒造のとうもろこし焼酎「静寂の時」です。
このシーンを見たとき、グルメ漫画の名作「将太の寿司」を思い出しました。
寿司職人コンクールの課題の1つで、米と炊く水と合わせる酢を、同じ場所で揃えたものがありました。水とお茶と焼酎の産地が合っているので、それに匹敵するなと。
山本山のホームページでも、「産地別のお茶の場合はお茶の産地の水で入れると、より一層美味しく召し上がれます」とありますし、産地の水ですと、お茶の味も違うんでしょうね。
するとコーヒーを入れるのも、産地の水を使えばおいしくなるのかなと。例えばキリマンジャロなら、それこそアフリカ大陸キリマンジャロの雪溶け水とか……。
想像は広がりますが、元に戻りましょう。焼酎のお茶割りがこちら。
釜炒り茶と焼酎を同量(150cc)ずつ合わせ、氷を満たした器に注ぐのですが、その1ページちょっとは、ぜひ漫画で見て欲しいところ。見事なパフォーマンスが描かれています。
度々ですが、せっかくの機会なので「静寂の時」を飲んでみました。バーボンはともかく、とうもろこしを原材料とした焼酎は初めてです。
鈴さんほどに華麗なパフォーマンスは不可能なので、無理なくお茶割りに。焼酎がうっすら黄色みがかっているので、お茶もそれなりの方が良いでしょうね。緑茶や烏龍茶では、味はともかく、色味が残念なことになってしまいそうです。
お茶と焼酎を1:1で割ってみたところ、すっきりした飲み口で、癖の強さのようなものは感じませんでした。「とうもろこし」と言われても気づきません。むしろ芋焼酎よりも飲みやすいと思います。
漫画の2人も香と味わいを堪能しているようです。お茶と焼酎、さらには鈴さんの言葉もあって、姉妹の悩み事は解決に向かいました。
さてこの漫画には印象的な器が登場します。
名古屋でも台湾でも、鈴さんは茶器を買い求めていましたし、コミックス7巻の第四十四煎「容(い)れ物と容れる物」では、茶器に合わせてお茶を飲みたいと希望するお客さんに「カタログ」を取り出しています。
もう一度、今回の場面。
一見シンプルに見えて、何となく複雑な形の器。ネットで探したところ、アッシュコンセプトのシリーズにある「Shuki(酒器)」でした。
水ならずとも、酒も茶も方円の器に従うわけですから、お茶割りにはちょうど良さそうです。
今年の夏も暑くなりそうですが、そんな時こそ焼酎の冷茶割りはいかがでしょうか。
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茶柱倶楽部
作者:青木幸子
連載:週刊漫画TIMES
発行:芳文社
既刊7巻