ブラウンエール:イングランド生まれの苦くない、しっとりナッツ風味ビール

ブラウンエール:イングランド生まれの苦くない、しっとりナッツ風味ビール

ブラウンエール(Brown Ale)はイングランド北部にあるニューキャッスルという町で、1927年に生まれたエールビールです。
当時、イギリスではイングランド中部のバートン・アポン・トレント出身のペールエールが流行していました。このペールエールに対抗するべく生み出されたのがブラウンエールです。

ブラウンエール

ニューキャッスルはホップ生産地であるケント州(イングランド南東部)から遠く、ペールエールのようにホップを効かせたビールを作ろうとすると、輸送代がかかりすぎるという問題がありました。この輸送代の問題を解決しつつペールエールとの差別化を図るために、ホップの香りを弱めにして、麦芽の甘みと風味を強調した味わいのビールが考案され、ブラウンエールが誕生しました。
3年の期間をかけて開発されたブラウンエールは、1928年のロンドン醸造博覧会ボトルビール部門で第1位に輝き、イギリス中にその名前を知られることとなりました。

ブラウンエールの特徴

ブラウンエールの最大の特徴は「苦くない」というところです。ホップの使用量が控えめなため、ホップの香り・苦みは非常に弱く、ほとんど感じられません。
麦芽には少しローストしたカラメルモルトが使われており、ホップの個性が弱い分だけ、ナッツに似た丸みのある香りと甘みを強く感じることが出来ます。同時にエールビールの甘い香りが加わり、しっとりとして非常に飲みやすいビールに仕上がっています。

お勧めの飲みごろ温度は、やや高めの13度です。冷やすとブラウンエールの特徴である麦芽の甘い香りや風味がかなり感じにくくなり、パッとしない今一つな味となってしまうためです。

項目詳細
原産地ニューキャッスル(イングランド)
発酵の種類上面発酵(エール)
※ハイブリッドビールとされることもあり
濃い銅色~茶色
アルコール度数4~5.5%
麦、ホップ以外の原料無し(一部で小麦、糖類、カラメルなどを使用)
最適温度13度
有名な銘柄(海外)ニューキャッスル ブラウンエール(イギリス)
サミュエル・スミス ナット・ブラウンエール(イギリス)
マキシム・ダブル ブラウンエール(イギリス)
ブルックリン ブラウンエール(アメリカ)
など
有名な銘柄(日本)ハーベストムーン ブラウンエール(イクスピアリ)
ノースアイランドビール ブラウンエール(SOCブルワリー)
二軒茶屋餅角屋本店・熊野古道麦酒(伊勢角屋麦酒)
など

ブラウンエールの味

ブラウンエールの種類

イングリッシュ・ブラウンエール

イングリッシュ・ブラウンエール

出展:crescentcrown

ブラウンエールの基本型は、イングランド生まれのイングリッシュ・ブラウンエールです。
ナッツ風の甘い香りを強調するため、中にはカラメルを追加し、糖類も加えてコクを増している物があります。逆に、ホップと麦芽だけで勝負している銘柄もあります。

癖がなくて食事にもよく合い、焼き鳥やローストビーフ、クレソンなどと相性が良いビールです。

アメリカン・ブラウンエール

アメリカン・ブラウンエール

出展:totallybeer

イギリス生まれのビールのほとんどがアメリカに持ち込まれて独自の進化を遂げたように、アメリカのブラウンエールもイギリスの物とは一味違っています。
アメリカン・ブラウンエールはブラウンエールとしては禁じ手ともいえる、ホップの苦みや香りを強化しています。アメリカで改良されたイギリスのビールはホップが強くなっている物が多く、アメリカ人のホップ好きの側面をうかがわせます。
アメリカ産ホップ特有の柑橘系の香りがあり、苦みもわずかにありますが、それほど強いわけでもなく、ほとんどに学内の範囲に収まっています。

アメリカン・ブラウンエールで有名なのは、国外ではブルックリンのブラウンエール、国内ではSOCブルワリーのノースアイランドビール ブラウンエールなどがあります。

次回は、アルコール度数の高い「強い」ビール、ストロングエールを紹介します。

お酒の雑学カテゴリの最新記事