急峻な北アルプスに囲まれた富山県。難所が多くてちょっと行き来しにくい地域ですが、立山連峰の豊富な水資源とそれを使った黒部ダムが生み出す電力によって、北陸随一の工業集積地帯となっています。
豊かな漁場である富山湾を擁し、北前船の中継地点であったことから貿易も盛ん。富山の薬売りの伝統から、現代でも医薬品製造業が強いのも特徴です。
比較的小さくても、産業が非常に盛んで見どころも多い県。そんな富山県のクラフトブルワリーを見ていきましょう。
城端麦酒
城端麦酒が居を置く南砺市城端は、風流な建物が多いことから越中の小京都とも呼ばれています。町おこしの一環として2001年に発泡酒醸造免許を取得し、製品製造を開始しました。
使用する水は山地を通った雨水がブナ林で磨かれたミネラル分の多い水を使用しており、普通のあっさりしたラガーよりも、味の濃いIPAやフルーツビールといったパワフルなビールを多く作っている所が特徴です。
立山エール
立山エールは滑川市にある酒蔵「北陸発酵工業株式会社」のビールブランドです。
本来は焼酎を主力商品としている焼酎蔵で、富山県ではやや珍しい存在です。商品は「越中米騒動」をはじめとし、早月川、命の水、北の大将などがそろえられています。ボトルのデザインにも気を使っており、おしゃれなドレスボトルに入った物もあります。
他の商品は、梅酒や花梨酒、高麗人参酒と言ったリキュール、合成清酒などです。
ビールの製造免許を取得したのは1997年と比較的早い方で、富山県では初めてです。税率の関係から発泡酒の製造免許しか取れなかったものの、取得から現在に至るまで上質のビールといえる製品を作っています。
ビールは2種類で、どちらも完全無濾過であるため、濁りとそれらが持つ味を感じられます。
宇奈月地ビール
温泉で有名な宇奈月町で製造されているビールです。宇奈月町の主力産業である観光と農業を再生するべくビール造りに取り組み、1997年にオープンしました。
醸造は本社兼運営施設である宇奈月麦酒館で行われており、ビール以外にも、お土産の購入、レストランで樽生ビール付きの食事が楽しめます。
ビールはドイツ系で、製造開始に当たってドイツから技師を招聘して醸造技術を磨きました。こうした生まれたビールの実力はかなり高く、2003年に国際ビール大賞で金賞を受賞して以降は、ほぼ毎年のように複数のビールが入賞するようにまでなっています。
次回は太平洋側、静岡県のクラフトブルワリーを紹介します。