クラフトビール開化なるか?:静岡県のクラフトブルワリー

クラフトビール開化なるか?:静岡県のクラフトブルワリー

静岡県のクラフトブルワリー

静岡県といえば、富士山、駿河湾、御前崎など、とにかく観光名所が多い県。はるか太古に作られた自然の地形から、戦国時代の武将、日本近代工業の史跡、果てはプラモデル産業の聖地など、面積が大きく歴史が古いだけあって実に様々な角度から楽しめる場所といえるでしょう。
ビールに関してもそれは同様。日本のクラフトビールが解禁された直後に、夫婦で仕事を辞めてアメリカで修行し、帰国後に設立したブルワリーもあります。当初は個人営業のパブでしかなかったところも、今では世界各国へ輸出を行う日本を代表するブルワリーへと成長を遂げています。
たくさんの見所がある静岡に、新たにクラフトビール産業という新風が入って来た現在。ここでも他の多くの場所のように、クラフトビールが大手の製品と肩を並べて量販店に姿を現していけば、一層日本のビール産業は発展していくことでしょう。

ベアードブルーイング

ベアードブルーイング

ベアードブルーイングはアメリカ出身のブライアン・ベアード氏が、妻のさゆりさんと共に設立したクラフトブルワリーです。1997年に東京での仕事を辞めた夫妻は、アメリカ北西部へとビール醸造を学び、2000年にベアードブルーイングをオープンしました。
モットーは「ビールを祝福する」。素材にほとんど手を加えることなく、それぞれが持つ香りや味などの個性を引き出すビール造りを行っており、風味が無いビールは決して作らないことを念頭に置いて仕事をしているとのこと。
ビールの多彩さが重視されているので、レギュラービールの数は何と12種類。しかも、季節ごとと月ごとに1種類ずつ、果物のシーズンごとに1種類ずつ限定醸造品が存在します。それに醸造士の気まぐれメニューが加わるので、1年に醸造されるビールの種類は、少なく見積もっても40種類にも上ります。
これだけたくさんのビールがあれば、どんな人でも自分好みのビールが見つけられそうですね。

最初の醸造所は沼津市にありましたが、経営拡大に伴って2013年から修善寺に新醸造所を作り、そちらに本拠地を移しています。誕生地である沼津の魚市場の隣と、新本拠地の修善寺にテイスティングルームを持つほか、中目黒、原宿、高田馬場、横浜に直営のパブがあり、それぞれで樽生ビールを飲むことができます。
もちろん瓶製品の購入も可能で、大手の通販サイトでも気軽に手に入るようになっています。2008年にはアメリカへの輸出が始まり、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、香港など、次々と輸出先が増えています。
ベアードブルーイングの成長は、日本のクラフトビールの成長を体現しているかのようです。

反射炉ビヤ

反射炉ビヤ

反射炉ビヤは伊豆の国市韮山にある会社、蔵屋鳴沢が作るビールのブランドです。醸造所兼パブがあるのは、国の指定史跡である韮山反射炉跡地のすぐ隣で、このことがブランド名の由来となっています。
韮山反射炉は幕末期に伊豆の代官を務めた江川太郎左衛門英龍が、国防強化のために高性能な鉄製大砲を鋳造するために作らせた設備です。1857年に息子の英敏によって完成し、現在では実際に使われた反射炉として唯一残った史跡となっています。
蔵屋鳴沢ではビールの醸造と販売の他、名産であるお茶の販売、及び網焼きレストランの運営も行っています。
ビールは3種類ずつのレギュラー製品と準レギュラー製品の他、様々な限定ビールが毎年作られています。レギュラービールの名前は、伊豆にゆかりがある歴史上の人物の名前を付けているのが特徴です。

サムライサーファー

サムライサーファー

サムライサーファーは沼津にある日本ビール醸造株式会社が製造するビールブランドです。名前の通り、ラベルにはサーフィンをするちょんまげ姿の侍が描かれています。
創設者である中島氏は、当初は個人でビールの醸造を行っていましたが、2001年に経営を法人化して日本ビール醸造株式会社を立ち上げました。現在の従業員は中島氏を含めて4名ですが、製造から瓶詰め、出荷までの全てを手作業で行う丁寧で手間のかかるビール造りを続けています。
醸造所がある場所は、かつては沼津ミナトビールや中島ブリュワリーなど、静岡のクラフトブルワリーの直営パブが置かれていた土地です。

もう一つの事業として、顧客からの注文を受けてオリジナルビールの醸造を行う、委託醸造サービスを行っています。例えば地域のブランドや会社独自のビールを醸造したいけれど設備が無いという時に依頼すれば、代わりにビールを作ってくれるサービスです。
委託醸造によって他の会社に生産をしてもらっている企業は多く、日本ビール醸造株式会社も東京の10アンツブルーイングやAMIRAALIビール、JR上野駅の「うえのパンダくんビール」などを醸造しています。

次回は石川県のクラフトブルワリーを紹介します。

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