8月31日ベルギービールウィークエンドに行ってきました。
2010年から毎年開催されているベルギービールの祭典「ベルギービールウィークエンド」。50か所以上の醸造所が作る、日本ではめったに手に入らない数多くのビールを飲むことが出来ます。8回目に当たる今年は、132種類のビールが集まりました。
4月26日からの名古屋開催を皮切りに各地で開催されておりますが、今回は今年7番目の会場である神戸メリケンパークに行ってきました。
神戸は今回が初開催の会場で、神戸港の開港150周年に合わせての開催となりました。
メリケンパークは神戸ポートタワー、ホテルオークラ、神戸海洋博物館の間にあり、ここから見える夜景は神戸を象徴する景色の一つになっています。2017年4月には大規模なリニューアルが行われ、新鮮なイメージです。
天気は快晴。風がちょっと強いですが、潮の香りと船の汽笛と相まって、港らしさを実感させてくれます。
ベルギービールウィークエンドの楽しみ方
会場に来たら、まずはスターターキットを購入します。
スターターキットの内容は、専用のグラス、購入用コイン、イベントガイドとポケットガイド、20歳以上であることを示すリストバンドです。
価格は3,100円で、コインの数は11枚となっています。会場の受付での購入の他、前売りチケットで交換してもらうことも可能です。
会場内でのビールや食べ物の購入は全てコインでの支払いとなり、足りなくなれば5枚1,050円で追加できます。
コインでビールを購入すると、グラスにそのまま注いでもらえます。
銘柄によっては、樽からタップで注いでくれるものと、瓶から注いでくれるものがあります。グラスやコインは持ち帰って、再来場した時にまた使うことが出来ます。
グラスのデザインは毎年変更されるので、コレクターズアイテムとしても高い人気を持っています。
ビールをお代わりするときは、開場に設置されたグラスリンサー(洗浄機)を使ってグラスを洗います。グラスを逆さにして押し当てるだけで、シャワーが噴き出てグラスを綺麗にしてくれます。
2017年度の注目ビール
ベルギービールウィークエンドでは、他ではめったに飲めないビールも数多く出品されています。日本に1樽しか入ってきていないビールや、その年のベルギービールウィークエンドのためだけに醸造所が作ったビールもあります。
会場ごとに飲めるビールの種類が替わる場合もある他、今年からは時間ごとに内容が入れ替わるブース「BBブティック」が導入されており、珍しいビールとの出会いはまさに一期一会のものとなっています。
気になるビールを見つけたら、ためらわずに挑戦してみましょう。
初陣(ホワイト・ビール 6.0%)
ベルギービール名誉騎士である菅原亮平氏が醸造するビールです。ベルギーのホワイト・ビールとしては珍しく、スパイス類を使っていないのが特徴。癖がないために料理に合わせやすく、ミシュランの星付きレストランでも提供されています。
ウルフ・ドライホップ・ウィークエンド2017(スペシャル・ビール 8.5%)
ウルフ醸造所が2017年度ベルギービールウィークエンドのためだけに作った特別なビール。飲めるのは今年の日本だけです。ドライホップとは熟成の段階でホップをビールに漬け込む手法で、冴えわたるような香りと苦みを持つビールが出来上がります。
香りと苦み、ドライさ、コクがすべて最高レベルの、インパクトが非常に強いビールです。
スーパー8 IPA(IPA 6.0%)
今回日本に初上陸した、ハーヒト醸造所のIPA(ホップを多量に使用した淡色のエールビール)です。日本で飲んだ人はほとんどいないので、公式ガイドブックにもホームページにも味の感想が掲載されていません。どんなビールか知りたければ、飲んでみるしかありません。
ブートビア(スペシャル・ビール 7.0%)
こちらも日本初上陸のビールです。かつて再現不能と言われていた「セーフビール」の酵母を使用し、ベルギーとアメリカのホップ、ハーブをブレンドして加えて作られています。
ローデンバッハ アレクサンダー(フルーツ・ビール 5.6%)
フルーツ・ビールで有名なローデンバッハ醸造所が、1986年に創設者のアレクサンダー・ローデンバッハの生誕200周年を記念して作った特別品を、ファンからの要望に応えて復活させたビールです。サワーチェリーを漬け込んでオークの樽で熟成させる手法で作られており、ブルゴーニュワインを思わせる新鮮さを持ちます。
コルセンドンク ルース(スペシャル・ビール 8.0%)
長い歴史を持つコルセンドンク醸造所が作るエールビールで、日本に輸入されたのは今回が初めて。気品のある琥珀色をしており、洋ナシを思わせる柔らかい口当たりに、軽快な甘さが特徴です。深みのある味わいが、長い余韻を残します。
シメイ グランドリザーブ エイジドオーク 2017(トラピスト・ビール 10.5%)
日本でも知られているシメイ醸造所の「シメイ・ブルー」を様々な種類の木樽で熟成させ、ブレンドして作られた特別限定醸造ビールです。使用される木樽の種類とブレンド比率は毎年異なっており、2017年度はコニャックの樽で熟成した部分がアクセントを作っています。
ベルギービールは食べ物とセットで
ベルギービールは単体ではなく、料理とセットで楽しむのが相場です。フランスで料理に合わせてワインを選ぶように、ベルギーでは料理に合わせて適したビールを選びます。
ベルギービールウィークエンドでも、ビールと共にいろいろな料理を購入できます。
こちらはベルギーの伝統料理であるフリッツとブーレットのセット。
フリッツはいわゆるフライドポテトで、ベルギーのファーストフードNo.1といえるメニューです。一旦オーブンでグリルした後に揚げる二段階調理法で作られており、外側はカリッと、中はホクホクの触感が特徴です。いろいろなソースを付けて食べるのもおすすめで、会場ではハニーマスタード・チーズソース・オーロラソースの3点セットが1コイン買えます。
ブーレットはいわゆるミートボール。粗挽きミンチがしっかりとしたお肉感を醸し出しています。ソースはトマトソース。フリットに付けて食べてもGood。
この他にも牛肉をビールで煮込んだベルギーの伝統料理、カルボナードとのセットもあります。
ベルギー料理はお肉関連のメニューが充実していることでも有名です。チキンやポークから、ラム、ターキーまでいろいろ。
他にもラタトゥイユやアヒージョとバゲットのセットや、ピッツァ、キッシュなどのお惣菜メニューもあります。みんなで違うメニューを買ってシェアするのもよさそうです。
スイーツも充実。ベルギーといえばチョコレートとワッフル。
ビールの種類によっては、甘い物との組み合わせも良好です。バニラ系統のスイーツなら苦みの少ないホワイト・ビール、チョコレートとは度数の高いダークな色合いのビールが適しています。
楽しいステージも
ベルギービールウィークエンドは飲む、食べるにとどまらず、ステージでアーティストの生演奏を聴くことも出来ます。
アーティストの顔ぶれは会場ごとに異なり、神戸会場では、まずベルギービールウィークエンドナビゲーターの大庭パスカルさん、ダミアン・ドームさんのトークショーがありました。
パスカルさんは日本人とベルギー人のハーフで、日本の国際化を促進するべく株式会社サンディスを立ち上げ、イベントの企画やコンサルティングを行っています。
ダミアンさんはベルギー観光局ワロン・ブリュッセルの局長で、ペラペラの日本語でベルギービールの歴史と魅力、楽しみ方を教えてくれました。
ナビゲーターには世界でもっとも有名なベルギービール評論家のティム・ウェブさんもいたのですが、この日はお休みでした。
トークショーの最後にはじゃんけん大会があり、優勝者はベルギービールの詰め合わせセットが送られました。
18時30分からは、シンガーソングライターのアントン・ウォルグレーブさん(写真左側の方)の生ライブが始まりました。ギターと深い歌声が非常に魅力的で、誌的でありつつ、素朴で飾らないスタイルの演奏でした。
曲の間にはビールで喉を潤し、裸足でステージの外に来て客席の間を回っていました。
今年のベルギービールウィークエンドも残すところ、六本木ヒルズアリーナで9月14日~18日にかけて開かれている東京会場だけです。
東京会場では、他の会場よりもビールの種類が多く、それだけ珍しい銘柄にも出会える確率が高くなります。この期間内に行けるのならば、ぜひ参加してみたい場所です。
東京会場で登場するアーティストは、ベルギーの人気No.1バンドの1つ「アーセナル」、アントワープ出身のラッパー「コエリー」と「DVTCH NORRIS」。特にアーセナルのメンバー、ヘンドリックとジョンは大の親日家で5枚目のアルバム「Furu」に収録された楽曲「Black Mountain」のミュージックビデオ撮影のため東京に来たばかりでなく、自ら脚本・プロデュースした映画「Dance Dance Dance」を落合賢監督の下で製作しました。
さらに、ヘンドリックは日本を舞台に、音楽が動物に変化する夢にとり憑かれた女性を主人公とするファンタジー長編映画「Birdsong」の撮影に臨んでいます。
一体どんなアーティストなのか?その目で確かめてみましょう。
ベルギーのビール文化は非常に奥が深く、2016年には「ベルギービール文化」として世界文化遺産に認定されています。何より特徴的なのは、その種類の多さ。金色で苦いとは限らず、甘かったり酸っぱかったり、赤かったり、度数が11%あるブランデーのような味だったりと、非常にバリエーションに富んでいます。
ベルギービールウィークエンドでその豊かさに触れ、お気に入りのビールを見つけてみましょう。