酒場の基礎知識【2】~最も多い飲み屋かもしれない「居酒屋」とは?~

酒場の基礎知識【2】~最も多い飲み屋かもしれない「居酒屋」とは?~

外飲みデビューの定番!「居酒屋」とは?

大学生時代の歓迎会やコンパ、あるいは社会人になってから上司や先輩に誘われて酒を飲む…いわゆる“外飲みデビュー”の場として、最もよく使われるのは「居酒屋」と呼ばれる酒場でしょう。
また先輩や上司に余程粋な人がいない限り、デビューの居酒屋は大抵チェーン店系列の居酒屋になる事が多いと思います。

ただ居酒屋は数ある酒場の中で、結構定義の難しいモノだったりします。

日本の酒場はみんな居酒屋?定義がかなり曖昧な酒場…それが居酒屋

「居酒屋」を国語辞典で調べてみると、

「(昔、酒屋の店先で飲む酒を居酒といったことから)店内にテーブル席、小座敷などを用意し、酒と食べ物を出す店。酒は日本酒を主に、ビール・焼酎など。食べ物はつまみ程度からかなり凝った料理まで、店によりいろいろ。(goo辞書)」

となっています。

店の形態はテーブル席や小座敷など、出される酒は日本酒にビール・焼酎など…となんでも「など」がついていますので、そうした基準をもとにすれば、日本国内の酒場のほとんどを「居酒屋」と呼んでもいいことになってしまうわけです。
まぁ、「酒」という言葉も狭義の意味では日本酒を指すと同時に、広義の意味では酒類全体を指しますので、酒場を大雑把に呼べば、全部居酒屋呼ばわりできないこともないでしょう。

角打ち

出典元:Jun OHWADA

居酒屋は日本の酒場のルーツ!

というのも、上記の国語辞典にも記載されているように、居酒屋という呼び名は日本の酒場のルーツにもなっているからです。あまり知られていませんが、日本での店舗販売というのは意外と歴史が浅く、全国的に定着したのは江戸時代の事だったりします。

そんな時代に酒を小売りしていた店に来た客が、店の中で酒を飲み始めてしまったわけです。またそんな客に対して、酒屋の店主がつまみなんか出しちゃったせいで、“店に居ながら酒を飲む”…つまり居酒屋という名称が生まれたと言われています(他にも諸説アリ)。

昔の居酒屋の名残り?今でも酒が飲める酒屋は実在する

酒屋が居酒屋の元祖であるという名残りは、日本中に残っていまして、今でも店で買った酒を店内で飲める酒屋は実在します。関東や九州地方では、飲むときに使う木の枡の角を叩いて角を取ることから、
「角打ち」
と呼ばれたり、中国地方では立ったままキュウっと飲むことから
「立ちきゅう」
と呼ばれていますが、全国的にはそのまんま
「立ち飲み」
と言われる事が多いようです。

まぁ、飲食店の営業許可も取らずにやっている酒屋が多かったことから、次第に数は減らしているようですが、地方都市ではそんな立ち飲みの酒屋は、地域のコミュニティエリアとして存在しています。

居酒屋をあえて定義するならば・・・

そんなわけで居酒屋というのは、日本の酒場のスタンダードモデルだといえるわけです。したがって現在の居酒屋を定義するとすれば、
・店の作りは和風が多い
・日本酒やビールといった醸造酒がメインで、蒸留酒は焼酎が中心
・酒の提供が主目的、つまみの一品料理は和食系が中心な上、他の酒場に比べてかなり充実している
・料金的にはチャージ料を取る店は稀で、酒代と料理代のみの明瞭会計
・店員は基本的に酒や料理の提供のみで、接待はしない

といった点になるでしょう。

居酒屋はさらに細かく分類すれば、「焼鳥屋」とか「おでん屋」、あるいは「小料理屋」とか呼ばれる店も含まれます。そうした店も含めて、ザックリと和風の酒場全体を居酒屋と呼んでいいかもしれません。

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