前回、芋焼酎マニアの友人T君が度々鹿児島の夜を満喫している話についてふれた。
もちろん彼は現地で地元の酒を飲み明かすだけでなく、気に入る銘柄を買い求めて焼酎の古里まで赴くのである。確かに彼の自宅を訪れると、棚の下には外食店にも勝る数の瓶が並んでいる。初めて見るラベルも結構な数だ。気取らないで済む空間で遠慮なく盃を交わし、昔話に花を咲かせる。会社帰りに立ち寄る居酒屋の光景とはまるで違う、肩の力が完全に抜けたような居心地のよさはまるで「地元」に帰ってきたみたいで、彼の自宅で呑む芋焼酎をなぜだかまた味わいたくなるのだった。
本記事を執筆しようと思ったのも、まさしく友人T君宅をお邪魔したときなのだ。彼は当然のように最近出会ったお気に入りの銘柄を抱えてきた。
「じゃ、今はこの芋焼酎が一番なんだ」
「え、うーん」
彼は腕を組んで眉間にしわを寄せた。
私はこういう表情をどこかで見たことがある。仕事の最中だったかもしれないし、休暇中の旅行先だったかもしれない。嬉しそうに悩む、そんな表情は必ず私を幸せにさせてくれるのだ。
彼の焼いたサワラは脂がのっていて、芋の香りによく合った。明日は朝早くから会議があるというのに、どうしてもペースが速くなってしまう。そしてもっと呑みたい。だから私は乙な肴が脳裡に浮かんだわけだ。
「ねえ、君が選んだ薩摩焼酎ベスト5を教えてくれない?」
では、その友人が熱く語った焼酎ベスト5を紹介しよう。
あくまでも個人による私見であることをお忘れなく。