2月11日は初午いなりの日です。
2月最初の午の日を初午といい、この日は稲荷神社で五穀豊穣を願うお祭りが行われます。
運気が高まる日ということでも知られており、いなり寿司を食べると福を招くといわれ、これを初午いなりと呼びます。
初午いなりを多くの人に知ってもらうことを目的に、全日本いなり寿司協会が定めた記念日で、2017年に制定されました。
初午にいなり寿司を食べるのはなぜ?
稲荷神社の本社は、京都の伏見稲荷神社なのですが、伏見稲荷の御祭神である宇迦之御魂神(うかのみたま)が、伏見稲荷の神域である伊奈利山に降り立ったとされるのが、711年の初午の日なのだそう。
そのため、五穀豊穣や家内安全、商売繁盛を願って、初午の日には祭りが行われるようになり、稲荷神社のお祭りであることからいなり寿司を食べるようになったと言われています。
稲荷神社の神の使いであるキツネの好物とされ、好物を使ったいなり寿司を1年の豊作や幸運を願って奉納することから、この日にいなり寿司を食べて運気を上げるのだといいます。
油揚げをキツネが好むと言われる理由
キツネというと油揚げが好物だと言われていますが、実際のところは少し違います。
キツネは肉食に近い動物で、油揚げを食べることはあったとしても、それが特に好物というわけではないのです。
もともとキツネが好んでいる油揚げは、豆腐を原料としたものではありませんでした。
太古の昔、農作物を荒らすネズミに悩んでいた人々は、ネズミを食べてくれるキツネを崇めていたといいます。
地域によっては、崇めているキツネに備えるために、ネズミを油で揚げたものを巣穴の入り口に置く習慣があり、そこから油揚げが好物と言われるようになったのです。
ネズミの油揚げはその後、日本に仏教が伝来したことをきっかけに、殺生はよくないということから、豆腐が原料の油揚げに置き換えられたと言われています。
いなり寿司、東と西でどう違う?
甘辛く煮付けた油揚げで酢飯を包んだいなり寿司ですが、地方によって作り方が違うことをご存知でしょうか。
関東では色濃く煮付けた油揚げにシンプルな酢飯を包んだ俵型のものを言いますが、関西では五目稲荷といって、中に入れるごはんにはにんじんやしいたけ、胡麻やひじきといった具材を混ぜ込んだ酢飯を包むのが一般的で、形も三角形と、関東のものとは全く違っています。
他にも、青森では紅生姜とくるみを酢飯に入れたり、茨城ではくるみで味付けした酢飯を包む地域があるのだといいます。
今ではいなり寿司も専門店があり、さまざまな具材を酢飯に混ぜ込んだものを売っています。
好みのものを何種類か選んで食卓に出せば、ちょっとしたごちそうにもなりそうです。
いなり寿司に合わせるお酒
甘辛くジューシーな油揚げに酢飯を包んだいなり寿司を食べるなら、どんなお酒を合わせたらいいでしょう。
暦の上では春ではありますが、まだまだ寒い時期なので、燗をつけた日本酒と合わせるのは王道パターンともいえるでしょう。
意外かもしれませんが、甘辛い油揚げに赤ワインが良く合ったりもするのですが、今回おすすめしたいのは黒糖焼酎です。
文字通り黒糖を原料にして造る焼酎で、奄美群島でその多くが造られており、独特のコクと甘みが感じられ、まろやかで口当たりがよく、飲みやすいのが特徴です。
喜界島にある朝日酒造が造る飛乃流朝日は、フルーティな香りとやわらかな口当たりが特徴の黒糖焼酎です。
いなり寿司に合わせるのなら、ロックはもちろん、水割りやぬるめのお湯割りにしても。
ジューシーないなり寿司の味わいと、ほんのりと甘みの感じられる黒糖焼酎の相性は抜群です。
旧正月を過ぎてすぐに来る初午に、いなり寿司と黒糖焼酎で、改めて今年1年の幸福を願いたいですね。