千年のときを経て…朧月夜の君「上善如水 貴醸酒」

千年のときを経て…朧月夜の君「上善如水 貴醸酒」

日々、時短や効率を求められ毎日が目まぐるしく過ぎていきますが、こんな現代において、千年前のお酒の味を味わえることをご存知ですか?歌を詠み、すごろくに興じ、優雅な暮らしをしていた平安時代の貴族がたしなんだと言われるお酒です。

平安時代の書物「延喜式(えんぎしき)」には、水の代わりにお酒を使って仕込む「しおり」という手法が書かれており、それを元に開発されたのが「貴醸酒」です。お酒をお酒で仕込む…その贅沢さゆえに、高級酒として知られています。

今宵は「12ヶ月の上善如水」シリーズの5月の酒、「上善如水 貴醸酒」をいただいてみましょう。

上善如水_貴醸酒_箱正面

三段仕込の三段目で、水の代わりに純米酒を使用。2011年に仕込まれ、4年間熟成されたお酒です。
さて、どんな気品あるお味なのかしら…

と、その前にまず驚かされるのが、ボトル!

上善如水_貴醸酒_箱の中身

白瀧酒造オリジナルデザインで、「ムーンボトル」と呼ばれているそうですが、なんとも斬新、スタイリッシュです。注ぎ口に取り付ける金具と、説明書も付いています。

が、このアルミの金具を注ぎ口に差し込むのには、コツがあります。金具の一方を内側に入れるように、ずらして丸めるとうまくいきますが、ここまで丸めるのになかなか力が要るのです。なお、金具を使わずに、キャップをはずした状態でそのまま注いでも問題ありません。

上善如水_貴醸酒_注ぎ口完成

オフィシャルショップによると、このお酒に合う料理は「シュウマイ、キャベツと挽肉の甘辛炒め」とのことですが、500mlで3,500円の高級酒なのに、そのような庶民のおかずではなんだか恐れ多い気がしまして、わたしはあえて料理を用意せず、正座して、人生初体験の貴醸酒に対峙。

よく冷やして、カクテルグラスに注いでみました。

上善如水_貴醸酒_グラス

ドライフルーツみたいな香りがほのかに漂い、口当たりがとっても丸い。甘みに続いて酸味も走って追いかけてきますがすぐに駆け抜け、果物を食べたあとのような甘みだけが残る…一口呑むごとに余韻を堪能したくなるお酒です。

豊潤な甘味はもちろん、上品な淡い琥珀色、ボトルの美しさもみんなで称えて愉しみたいですね。たとえば、ご親戚のお集まりの乾杯酒として、美味しいお料理のあとの食後酒として、大切なお客様のおもてなしなど、華やかなお席に似合います。

平安時代の宴も華やかだったことでしょう。「源氏物語」では、花宴のお酒に酔った光源氏が、月光の下を歩いていると、

照りもせずくもりもはてぬ春の夜の おぼろ月夜にしくものぞなき
(くっきりと照るわけでもなく、雲に隠れてしまうわけでもなく、春の夜の朧月夜にかなうものはない)

と口ずさむ女性の声が聞こえてきます。これが、魔性の美女・朧月夜の君と、光源氏の運命の恋の始まりでした。

よく冷えたムーンボトルはうっすらと結露に包まれて、おぼろ月のようにも見え、平安時代の月夜のロマンスに想いを馳せながら、こくりと呑むひとときもまた愉しからずや。

上善如水_貴醸酒_箱の表記

上善如水 貴醸酒

アルコール度数:14度以上15度未満
原材料名:米、米こうじ、清酒 ( 純米酒 )( 国産米100%使用 )
精米歩合:60%
オフィシャルショップ(楽天):http://item.rakuten.co.jp/jozen/c/0000000220/

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