夏の終わりに、なじみの酒屋さんの店頭で「ひやおろし」の文字を見つけました。
ひやおろしとは?
冬にできた新酒を、火入れ(加熱殺菌)し、涼しい蔵で貯蔵。暑い夏が過ぎて涼しくなった頃、出荷前の加熱殺菌をせずに(←通常はする)卸すのが「ひやおろし」です。お酒が好きな人にとっては秋の風物詩。できたてのお酒とは違う、熟成された風味が魅力です。
秋と呼ぶにはまだちょっと早い時期、いの一番に店頭に並んだ、「純米吟醸 南方 ひやおろし」を呑んでみました。
「南方」と書いて、「みなかた」と読みます。
和歌山県にある「清酒 世界一統」という酒蔵のお酒です。この「南方」を呑む上で知るべきウンチクは、「創業者のせがれ、南方熊楠氏が天才。しかも大酒呑みだった」ということでしょう。
裏ラベルに写真入りで説明されているのが、その南方熊楠です。
文明開化して間もない明治時代に、アメリカやイギリスに渡り、数々の論文を執筆。イギリスの大英博物館東洋調査部に入り、人類学など独学する一方で、菌類学も研究し、科学雑誌「ネイチャー」にも寄稿するなど、その博学ぶりから「知の巨人」と呼ばれていたそうです。一方で大変な大酒呑みでもあり、留学先のミシガン州立大学は、お酒が原因で退学になったとか。
南方熊楠氏は破天荒なエピソードに事欠かない方のようですが、「純米吟醸 南方 ひやおろし」のお味はいたって和やか。香りもおだやかです。
ちょっぴり酸味や辛味を含んだ刺激を、まろやかさが丸くつつんで、喉に流れていく感じが心地よいです。
熊楠氏に刺激され、読書なぞしながらたしなむ秋の酒も粋でしょう。
秋から冬にかけては、日本酒の季節。とれたてのお米で続々とお酒が仕込まれ、やがて「新酒」の文字が酒屋に並ぶのだと思うと、胸が弾みます。お酒の季節の前夜祭みたいな気分になりますよ、初秋のひやおろし。今宵、酒屋さんをのぞいてみては。
純米吟醸 南方 ひやおろし
原材料名:米(国産)・米こうじ(国産米)
精米歩合:50%
アルコール分:17度
杜氏:武田博文
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