南国・台湾 猛烈な蒸し暑さは、ビールで乗り切る!
コンクリートジャングルから脱出し、バカンス気分で向かったのは南国・台湾。
あ…暑い!
美味しいものが食べたい一心で、夏の南国の厳しい暑さをろくに想像しないまま、浮かれてやって来たことをちょっぴり後悔した。
赤道に近い強烈な日差しにより、この時期の最高気温は35度近く、湿度も70%は当たり前。肌にまとわりつく猛烈な蒸し暑さに、台湾旅行においてオボコな筆者は少々面食らった。そして覚悟した。
これは…呑んで食らって乗り切るしかない!
ゴクゴク呑める!喉ごしスッキリ爽快、台湾ビール!
台北市内の食堂に入って、さっそくビールと餃子を頼んだ。
「ビール」と言っただけで運ばれてきたのは、台湾ビール クラシック版の瓶ビールだ。現地ではこれがビールの定番なのだろう。
台湾ビールには、レギュラー/金牌/クラシック/生など種類はあれど、「台湾煙酒公司(Taiwan Tabacco & Liquor Corporation)」というメーカーのものが一般的なようだ。
日本の昭和時代を感じさせる小さなグラスに注ぐと…コップが小さめのせいか、あまり泡立ちはない。いざ、台湾ビールをゴクッ!
炭酸の刺激が心地よく、味は淡くスッキリ。
当たり前と言えば当たり前だが、その土地の料理とお酒は、ジグソーパズルのようにピタリと合う。
この台湾ビールも、餃子や小籠包など肉汁たっぷりの脂っこさを、ぐぐっと流し込む爽快な喉越しがたまらない。
苦味が強くないのでゴクゴク飲めるし、台湾料理独特のスパイシーな甘辛さも、ビールのさっぱり感とマッチする。
そしてまた一口食べたくなる。食べると、また一口呑みたくなる。
そんなふうにして、暑さの中でもしっかり食欲を保ち、体力を維持できるのかもしれない。
食堂では瓶ビールのクラシック版が出てきたが、街中のコンビニエンスストアでは、レギュラー版、金牌版の缶ビールが人目を引く。
金牌とは「ゴールドメダル」の意味。モンドセレクション金賞を受賞したことに由来するようだ。
モンドセレクション金賞5年連続受賞の名品が、台北市内のセブンイレブンで、1缶(330ml)で約30元(約105円)程度と、安いのも嬉しい。
日本人に好まれるのは、史実に基づいた理由があった
さて、この台湾ビール。後味に心地よい甘みが残り、その甘みに懐かしさのような、親しみを感じた。
なぜか?
理由は、台湾ビールの原材料名を見て判明した。
「主要原料」の欄には、「大麦芽」「蓬莱米(ほうらいまい)」「ロ卑酒花(ホップ)」と表示されていた。
麦芽とホップのほかに、お米が使われているのだ。
「蓬莱米」は、単に台湾産のお米と思うなかれ。日本にゆかりのあるお米なのだ。
もともと台湾ではインディカ種(タイ米)のお米を栽培していて、1930年ごろには、食糧不足の日本に輸出もしていた。が、インディカ種のお米は日本人の口に合わず、日本人の農学博士・磯永吉氏が長年改良を重ね、台湾の気候でも栽培できるジャポニカ種のお米を開発した。それが「蓬莱米」と命名され、蓬莱米は台湾の農業発展、ひいては経済成長に大きく貢献したそうだ。
日本人の口に合うように開発されたお米が入っているのだから、懐かしさと親しみが湧くのも無理もない。「もう1杯♪」という気分になっても仕方なかったのだ。…そうして呑んで呑んで食い倒れた台湾の街を恋しく思い出しつつ、「蒸し暑い日本の夏にも、台湾ビールがよく合うはずだ」と熱帯夜の東京にて確信する。