12月23日は天ぷらの日です。
もともと「大暑」の頃に、天ぷらを食べると夏バテせず、元気に夏を過ごせるということから、7月23日を「天ぷらの日」としていました。その後どの団体が制定したかは経緯は不明なのですが、毎月23日に天ぷらを食べて元気に過ごそう、という意味合いで、23日は天ぷらの日としたとされています。
天ぷらはご存知の通り、野菜や魚などに、小麦粉と卵で出来た衣をつけて、高温の油で揚げたものを指します。また、寿司、そばと並ぶ「江戸の三昧」のひとつとされており、江戸の昔から庶民に愛されてきた「江戸の味」でもあります。
ひとくちに天ぷらといってもさまざまで、「天だね」とされる具材は、季節により変わります。
今の時期であれば、魚介なら、たらの白子やかわはぎ、牡蠣や帆立、野菜なら、くわい、長芋、菜の花やにんじんといったところが挙げられます。季節の移り変わりとともに、サクサクの衣に包まれた天だねを楽しむのもまた、江戸の粋と言えるでしょう。
そして、天ぷらというと、ワイン好きならダジャレのように思い出すぶどう品種があるのをご存知でしょうか?
「テンプラニーリョ」というぶどう品種がそれにあたります。スペイン原産のぶどう品種で、名前の語源に「早熟な」という意味があり、他のぶどう品種に比べ、早くに成熟するとされています。
テンプラニーリョはスペインを代表する品種のひとつです。主に赤ワイン用のぶどう品種で、スペインの銘醸地である、リオハやリベラ・デル・デュエロで栽培され、素晴らしいワインを数多く生み出しています。
出来上がるワインにはさまざまなタイプがありますが、概して軽い酸味があり、口当たりがやわらかく、それでいてしっかりとした味わいのものが多いのが特徴です。若々しいうちは、いちごやプラムのような香りなのが、熟成すると干したいちじくやプルーンのような香りを幾重にも重ねたような、複雑な香りを持つようになります。
テンプラニーリョを使用したスペインの赤ワインは、比較的手頃な価格で手に入ります。1,000円前後でも十分楽しめるものが多いので、デイリーに楽しむのにも向いています。ミディアムボディで料理と合わせやすく、飲み飽きしないのも嬉しいところです。
例えば、元サッカースペイン代表である、アンドレス・イニエスタ選手のワイナリーで作られている「ボデガ・イニエスタ・コラソン・ロコ・ティント」などがあります。
料理との相性では、すき焼きや肉じゃがのような、しっかりと甘辛い味わいの料理によく合います。他にはスペインらしく、生ハムや羊乳のチーズなどにぴったり。肝心の天ぷらはというと、穴子やはまぐり、かぼちゃやにんじん、なすなどの天だねを、天つゆでいただくと好相性。天だねの中でも味や香りがしっかりした具材がよく合います。
天ぷらの日に、江戸の昔に思いを馳せながら、揚げたての天ぷらとともに、テンプラニーリョを使った赤ワインを楽しむのも、オツなのではないでしょうか。かりっと揚がった天ぷらに、まろやかな味わいの赤ワインを合わせれば、きっと真冬の寒さにも負けない元気を養う素になりますよ。