ホタテの日にはその名を冠した白ワインを

ホタテの日にはその名を冠した白ワインを

毎月18日はホタテの日です。

もともと、6月18日をホタテの日と青森県漁業協同組合連合会とむつ湾漁業振興会が制定したのですが、次第に毎月18日になったようです。その由来は、ホタテの「ホ」の字が漢数字の十八と書くことから。6月は、ホタテの産地でもある青森県むつ市の「むつ」から取っています。

魚介類は冬が美味しいというイメージがありますが、実際、冬場に旬を迎える魚介類は多く、その充実した味わいを楽しむのなら、12月から3月頃が良いものが多くあります。けれどもホタテはちょっと違っています。ホタテには旬が年に2回あるのです。

1度目は、産卵が終わった5月~8月の初夏。プランクトンをたくさん食べて、貝柱が大きくなっていく時期が最初の旬にあたります。そして2度目が冬。12月~3月は産卵に向けて生殖巣が発達していく時期。身が充実しており、美味しい時期を迎えます。この時期になると、普段は見かけない天然物のホタテが出回るので、1年中食べられる養殖物と食べ比べるのも一興です。

ホタテは海外でもさまざまな料理にして食べられ、親しまれています。マリネやグラタンとして食べられることが多いですが、フランスでは冬場に生食することもあります。街中のビストロなどで供される「フリュイ・ド・メール」という料理で、生の魚介を楽しむ冬のごちそうです。クラッシュアイスを敷き詰めた大きな器に、生の牡蠣や手長海老、ホタテやはまぐり、ムール貝などを盛り合わせ、ワインとともに味わいます。とろりとした食感と甘みのある味わいは、美食の国でも人気です。ホタテはフランス語で「サン・ジャック」といいますが、同じ綴りで「聖ヤコブ」も意味します。この名がつく土地や通りも多く、よく耳にする名前でもあります。

フランスワインにも、もちろん「サン・ジャック」という名前を冠するものがあります。とりわけ有名なのは、リュリーという村のものです。リュリーはブルゴーニュに位置する小さな村。この村で造られる上質な白ワインは、ロンドンでとても人気があります。ブルゴーニュ地方で最初に発泡性ワインが造られた村でもあり、リュリーで造られるクレマンはフランスで最高と言われていますが、通常のスティルワインの品質の高さでも知られています。

日本ではどちらかというと、通好みの生産地域であるリュリーで、「サン・ジャック」がついたワインが造られるのは、リュリーでいちばん有名な1級畑「クロ・サン・ジャック」という畑。ラ・フォリーというドメーヌが持つこの畑で造られるのが、「リュリー プルミエ・クリュ クロ・サン・ジャック・ブラン」です。使われている品種は、さまざまな国で造られていることでも知られる、白ワイン用品種のシャルドネ。白い花のようなフローラルな香りと、フルーティな香りが華やかで、フレッシュな口当たりのみずみずしいワインは、豊かな果実味とヘーゼルナッツのような香ばしさが感じられ、余韻も長く上品な味わいです。

料理は名前の通り、ホタテを使った繊細な料理とぴったりなのが驚きです。カルパッチョやマリネ、サッと火を通したポワレなど、ホタテの食感と甘みを生かした料理が合いそうです。

旬のホタテと、上質な白ワインの組み合わせは、ちょっと特別なときにぜひ味わいたいもの。毎月のホタテの日をメモして、遊び心いっぱいのディナーを演出したいですね。

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