2021年も早いもので1ヶ月が過ぎ、2月がやってきました。
2月2日は節分。節分は立春の前日にあたります。メディアなどで報じられているのでご存知かと思いますが、今年の節分は1日ずれて2月2日になったのだそうです。節分もうるう年と同様に、1年で少しずつ誤差が出てくるため、調整をするような感覚で日付がずれるそうで、節分が2月2日にずれるのは、明治30年以来124年ぶりとのこと。珍しいので記憶に残るかもしれませんね。
節分の習わしと食習慣
節分というと、豆まきや柊鰯といった習わしが挙げられます。季節の変わり目には邪気が生じるといわれ、そのための「鬼祓い」の行事として、豆まきをしたり、戸口に柊と鰯の頭を刺したものを立てたりするようになりました。鬼祓いの風習は、中国の風習が由来となって平安時代に始まり、宮中行事になったものが一般に伝わりました。室町時代になってようやく豆まきが始まったといわれています。
最近ポピュラーになった恵方巻の食習慣は比較的新しく、その発祥も諸説ありますが、1930年代の大阪発祥というのが有力な説だといわれています。節分の夜に恵方を向き、願い事を思い浮かべながら巻きずしを丸かぶりし、言葉を発せずに食べ終えることができると願いが叶う、とされています。具材は七福神にちなんで7種類とされていますが、お店によりさまざまなものが出揃うのはご存知のとおりでしょう。
最近では「恵方呑み」というお酒の楽しみ方も現れています。恵方巻きと同様に恵方をむいて、日本酒を飲む、というもの。新たな季節に福を呼び込み、願いを叶えましょう、という意味を込め、日本酒好きの間でじわじわと広まっています。恵方はその年によって変わりますが、歳徳神(としとくじん)という、1年の福徳を司る神様がいる方向だとされています。2021年の恵方は「南南東」。恵方に向かって出ざかりの日本酒の新酒を飲むのもいいかもしれません。
冬は日本酒の新酒のシーズン
冬は日本酒の新酒が出る季節でもあります。
秋に収穫を迎えたお米から生まれる新酒が出揃うのも、ちょうど立春の頃で、「しぼりたて」や「おりがらみ」といった、冬しか味わえないお酒が各蔵から出回るようになります。なかでも「立春朝搾り」というお酒は、立春の日に日本一売れる日本酒といわれています。日本名門酒会が行っている行事で、立春の未明にお酒を搾って、神主さんがお祓いをしたものが、その日のうちに店頭にならぶというもので、立春という春の始まりの日を祝うというものです。
節分の次の日に販売になるので、節分に飲むことは出来ませんが、覚えておくといいかもしれません。
日本酒は1年を通して出回っていて、一般的なものは通年で手に入ることもあり、あまり季節というものは関係ないように思うかもしれません。
しかし、季節ごとに出荷されるお酒は種類も違います。夏に美味しく飲める「夏酒」や、秋の「ひやおろし」と「秋あがり」、そして、冬の「新酒」、「しぼりたて」、「おりがらみ」というように、季節ごとに出回るお酒も一方で存在します。日本酒を嗜むようになると、こうした季節の日本酒と、旬の食材を使った酒肴を、あわせて愉しむことに意識がいく人は多いのではないかと思います。
例えば節分の夜ならば、恵方巻を準備して鰯を焼き、しぼりたてのお酒を愉しむ、といったふうに。日本酒を選ぶのも、自分の住んでいるところから恵方にある酒蔵のしぼりたてを購入して恵方呑み、なんていうのもいいかもしれません。
東京から南南東に位置する千葉の南房総にあるのは、木戸泉という酒蔵。もちろんしぼりたてを造っています。春の訪れを祝い、願いを込めて美味しく楽しむ「大人の節分」にぴったりですよ。