3月24日は檸檬忌です。檸檬忌は、小説家・梶井基次郎の命日で、代表作の短編小説「檸檬」にちなんで名付けられました。この日を中心に、梶井基次郎を偲ぶイベントが行われます。
詩情あふれる作品を遺し夭折した梶井基次郎
梶井基次郎は現在の大阪・土佐堀に1901年2月17日に生まれました。東京帝国大学文学部英文科に進みますが、結核にかかり、中退。在学中の1925年に同人雑誌「青空」を創刊し、「檸檬」や「城のある町にて」、「泥濘」など、感覚的かつ知的で、詩情豊かな数々の作品で知られるようになりました。しかし、31歳の若さで、文壇に認められてまもなく、肺結核で亡くなりました。亡くなる直前まで執筆活動を続け、数多くの作品を遺したことでも知られ、心境小説に近い作品は今でも多くの人に愛されています。
代表作でもある「檸檬」は、鬱屈とした主人公の心理を背景に、檸檬と出会ったときの感動や空想を、心象とともに色彩豊かに詩的に描いた作品です。檸檬のみずみずしいさまや、匂い立つような様子が精緻な文体から感じられる短編小説は、日本のみならず海外でも愛される名作として知られています。
レモンの旬は冬から春
梶井基次郎の作品で描かれるレモンですが、実際の旬をご存知でしょうか。輸入のものも含め、1年中出回っているので、知らない方も多いのではと思います。そのさわやかな酸味から、夏のものと思う方もいるかと思いますが、レモンの旬は冬から春、柑橘類が旬を迎える時期に国産のものが出回るようになります。
国産レモンの産地はどこ?
冬の間に出回る、国産のレモンの産地ですが、広島県が全体の58%を占め、柑橘類のイメージが強い愛媛県や和歌山県を抑えての1位となっています。広島県の中でも、瀬戸内海の生口島がレモンの名産地として知られており、生口島で取れるレモンは「瀬戸田レモン」のブランドで、料理人の間で重宝されています。ジューシーで香り高い瀬戸田レモンは、産地ではさまざまな加工品も作られ、特にレモンケーキの人気が高く、観光客のみならず、全国のファンが通販で購入することでも知られています。
進化系レモンサワー「檸檬堂」が大ヒット
レモンのお酒といってなにを連想するでしょうか。普段から親しんでいるレモンサワーも、最近はブームになり、たくさんの種類が生まれ、さまざまなメーカーがしのぎを削っています。中でも、コカコーラが製造・販売をしている缶チューハイ、「檸檬堂」は、レモンの果実感をより感じられるようなタイプのブームを生み出しました。
レモンのお酒で感じるイタリアの風
海外にもレモンのお酒はあります。有名なところではリモンチェッロが挙げられるのではないでしょうか。リモンチェッロはイタリア生まれのレモンのリキュールで、イタリアのカプリ島や、ソレント半島、アマルフィ海岸の一帯が、産地としてよく知られています。市販のものだけでなく、家庭で作られることも多いお酒です。
レモンの果皮をアルコール度数の高いホワイトスピリッツに漬け込み、レモンの香りと味わいを移したら、果皮を引き上げ、シロップを加えて瓶詰めします。アルコール度数が非常に高いものに加水するため、白っぽく濁った鮮やかな黄色をした、香り高いリキュールが生まれます。アルコール度数は30%程度に調整され、イタリア料理の食後酒として親しまれています。
リモンチェッロの正しい飲み方
アルコール度数が30%あると、ソーダで割ったり、氷を加えて飲むことを考えがちですが、リモンチェッロの美味しさを堪能するなら、なんといってもストレートで。ボトルごと冷凍庫に入れて冷やし、キンキンに冷たい状態でいただきます。とろりとした舌触りと甘みを追いかけるように、口いっぱいに広がるレモンの香りとやさしい苦味が、イタリアの風を感じさせてくれます。
檸檬忌には、梶井基次郎の詩情あふれる小説を読みながら、よく冷えたリモンチェッロで夜長を過ごすのも良いのではないでしょうか。みずみずしい檸檬の美しさと美味しさを、改めて感じる夜になりそうです。