4月10日は酒盗の日
4月10日は酒盗の日です。
神奈川県小田原市の、酒盗の販売・製造を手掛ける株式会社「しいの食品」により制定されました。
日付は「し(4)ゅとう(10)」(酒盗)と読む語呂合わせに由来しています。日本で古くから親しまれてきた発酵食品の伝統の味を今に伝えたいとの願いから、この記念日が一般社団法人・日本記念日協会により認定・登録されました。
ところで、酒盗を召し上がったことはありますか?
「酒盗」とは、カツオの内臓を塩漬けにし、熟成した塩辛のことです。
もともとは鰹節の製造時に大量に出る内臓を、漁師や製造業者が塩辛にして食べていたのが始まりで、鰹を使ったもののほか、マグロ、サケ、タイ、サンマといった様々な魚で作られたものもあります。
酒盗を食べながらお酒を飲むと、どんどんお酒がなくなっていく様子が「酒を盗む」ようであることからそのように呼ばれるようになったのだとか。
その歴史は古く、正徳2年(1712年)頃出版された百科事典「和漢三才図会」にも既に酒盗の記載が見られます。
酒盗ができるまで
製造工程は以下です。
1.カツオの内臓(胃・腸)を取り出す。
2.20%(辛口)~10%(甘口)前後の塩で半年から1年以上漬け込み、内臓に含まれる消化酵素によって発酵させる。(メーカーにより酒、みりん、蜂蜜などで調味)
塩辛との違いは原料と熟成期間で、塩辛には魚の身や卵巣も使われますが、酒盗には内臓(胃・腸)のみを使用します。5kgのカツオから約50gしかとれないので、酒盗は価格が少し高めなのです。
発酵期間が塩辛の数週間程度よりも長いことから、豊かなコクが生まれます。
味わいとおすすめの食べ方
酒盗には、イノシン酸とグルタミン酸という2種のうま味成分が含まれており、その相乗効果で味わいの深みがアップしているのだとか。カツオが持つ風味と、熟成由来の豊かなうま味が、お口のいっぱいに広がります。
そのまま食べてももちろん美味しいのですが、熱々のごはんにのせたり、冷奴にトッピングしたり、じゃがいもにバターと一緒にのせるのもおすすめ。
また、アンチョビに代えてパスタやバーニャカウダ、アヒージョ、ピザなどに使ったり、チャーハンに入れてもとても合いますよ。
酒盗に合わせたいお酒
それでは、酒盗に合うお酒をご紹介しましょう♪
まずは、アルコール添加がなく米・米麹、水だけが原料のお酒である純米酒です。
凝縮感のあるクセになる味わいの酒盗には、米の旨味や深いコクが味わえる純米酒がピッタリ!お酒の甘さが強すぎると塩辛の生臭さが広がってしまうのと、フルーティー過ぎると、生臭さとは別の香りが立ってきて色々な香りが入り乱れてしまいます。
よって、辛口の「船中八策」がおススメです。酒盗の産地である高知県の司牡丹酒造が手掛けています。超辛口ながらなめらかで、キレも抜群なので、生臭さは広げず酒盗の旨味を増幅させてくれます。
2つ目は、生酛(きもと)造りの日本酒で、手作業で造られた酒母を用いたお酒です。
通常の日本酒造りでは乳酸は人工のものを使いますが、生酛(きもと)造りでは乳酸も手作業で造るそう。深みのある味わいとコクが魅力で、濃い味のお料理と合わせても負けることがありません。
おススメは、こちらも高知県の蔵元 土佐酒造の「桂月Sake Nature」です。
特別栽培の酒造好適米『吟の夢』を100%使用した純米大吟醸酒。昨年、フランスの日本酒品評会で部門最高位のプラチナ賞を獲得しました。
アミノ酸を多く含む生酛ならではのふくよかな旨味と芳醇な味わいは、発酵食品である酒盗と相性抜群です!
酒盗と言えば日本酒が鉄板ですが、実はビールも合うんです!
でも、そのまま食べるのではありません。そのままの酒盗に一般的なラガービールを合わせると魚ならではの生臭さが口の中に広がってしまいます。
そこで、酒盗をクリームチーズと和えてクラッカー等にトッピングしていただきましょう。
こちらに合わせるのはベルジャンホワイト「水曜日のネコ」です。
2012年の発売以来支持され続けているベルジャンホワイト。
ホップの苦みがとても弱くほのかなハーブ香があります。ベルジャンホワイトは小麦麦芽もしくは小麦を用いてつくる「白ビール」の一種。苦味が少なく、やさしい味わいのビールです。
コリアンダー、オレンジピールで風味がつけられているので、少しスパイシーでフルーティな味わいが特徴です。
発酵×発酵の、酒盗クリームチーズディップの濃厚なおいしさをしっかりと受け止めつつ、口の中を爽やかにリセットしてくれます。
酒盗を食べたことのない方は、是非一度トライしてみてください!
「いままでなんでこんなに美味しいものを知らなかったんだ!」と思われる方もいらっしゃるはずです。
新たな食材との出会い、そしてその食材とお酒のマリアージュを楽しんでみてはいかがでしょうか?