6月を除く毎月22日は、カニカマの日です。
石川県七尾市に本社のある、水産練り製品や加工品の製造を行っている、株式会社スギヨが制定した記念日です。かに風味かまぼことして知られている、カニカマの美味しさを、より多くの人に味わってもらいたいと、カニのハサミのような「二二=22日」にちなんでこの日に制定されました。6月を除くのは、6月22日がカニの日であることから。本物のカニへの敬意を込めて、この日を除くことにしたそうです。
失敗作から生まれたヒット商品
カニカマの登場については諸説ありますが、1972年に株式会社スギヨが「珍味かまぼこ・かにあし」を発売したことにさかのぼります。株式会社スギヨの三代目社長が、当時流行していた中華料理のクラゲを、練り製品で作ることが出来ないかと考え、昆布からとれるアルギン酸を使い、試作を続けていたところ、その失敗作のひとつがカニと食感が似ていたため、人工カニ肉の製造を思いついたといいます。試行錯誤の末「珍味かまぼこ・かにあし」が生まれ、発売したものの「インチキだ!」と苦情が殺到。しかしそれを逆手に取り、「カニのようでカニでない」のキャッチコピーで、全国で販売されるようになりました。今では食卓に欠かせない食材のひとつとして、多くの人に親しまれています。
多彩なタイプがあるカニカマ
カニカマにはいろいろなタイプがあります。誕生当時から売られているフレーク状のものや、おなじみのスティックタイプのものを筆頭に、カニ爪風やカニ脚風、さらにはズワイガニ脚風、タラバガニ脚風など、実際のカニ脚に似せ、カニ酢で食べるものまであります。サラダや和え物、炒め物や玉子焼きなど、さまざまな料理に使える美味しいものが増えており、さらには海外へと販路を広げるようになりました。
美食の国・フランスとカニカマの関係
1970年に訪れた、ヌーベルキュイジーヌのブームにより、バターやクリームをたっぷり使ったものから、素材を生かして作るかろやかな料理が好まれるようになって以来、魚介がよく食べられるようになったフランス。日本食のブームもあり、比較的早い段階から、サラダのトッピングなどにカニカマが使われるようになっています。フランスでは「surimi」と呼ばれ、日本よりも大きなサイズのものが家庭料理に登場し、サンドイッチやサラダなどで親しまれています。その消費量はヨーロッパで一番多いのだとか。ちなみに、フランスのsurimiはオレンジ色。フランスでよく食べられる、ワタリガニの色に似せたためだそうです。
カニカマと合わせたいフランスのお酒
ひとくちにカニカマといっても、これまでご紹介したように種類もいろいろあり、食べ方も実にさまざまです。カットしたりほぐしたりしてサラダに入れるほか、ちらし寿司のトッピングにしたり、和え物にしたり。軽い味わいの前菜や小鉢なら、ヴァン・ムスーはどうでしょうか。ヴァン・ムスーはフランスで造られるスパークリングワインのこと。さわやかで軽やかな味わいのものが多く、カニカマを使った前菜やサンドイッチとともに、気分をリフレッシュするのにぴったりです。
また、クリームコロッケやグラタンのような、少し重たい料理に使うのであれば、軽めの赤ワインを合わせるのもおすすめです。たとえば、ボージョレのサンタムールなど、ガメイを使ったワインは、フルーティな風味が豊かで、軽い酸味が心地よい味わい。ボージョレの魅力は、ヌーヴォーだけにとどまらないことを、ぜひこの機会に知っていただけたらと思います。
「カニのようでカニでない」と紹介され、今では毎日の食卓に頻繁に登場するようになったカニカマ。カニの風味を気軽に楽しみながら、気さくな雰囲気のお酒を飲むのは、案外楽しいものです。カニカマの日ならではの楽しみ方を、毎月考えるのもいいかもしれません。