4月23日はサン・ジョルディの日です。
サン・ジョルディはスペイン・カタルーニャ地方の聖人、聖ゲオルギオスのことを指し、4月23日は聖ゲオルギオスが殉教した日でもあります。カタルーニャ地方では伝統的に赤いバラを贈り合う、バレンタインデーに似た風習があります。これは聖ゲオルギオスが退治したドラゴンの血が、赤いバラになったといういわれにちなんでいます。さらに4月23日は小説「ドン・キホーテ」の登場人物、セルバンテスの命日で、文豪シェイクスピアの、誕生日であり命日でもあります。こうしたことで本とも結びつき、今では本と赤いバラを贈るようになっています。
文化の香り高いカタルーニャ州
サン・ジョルディの日の発祥の地でもある、スペインのカタルーニャ州は、独自の歴史と文化、そして言語をもち、よく独立運動がおこることでも知られているのではないかと思います。州都でもあるバルセロナには、アントニオ・ガウディが数多くの建築物を遺しており、観光地としてもよく知られています。歴史的な建造物やピカソやミロをはじめとした著名な芸術家の作品を収蔵する美術館も多く、豊かな文化の感じられる地域でもあります。
カタルーニャ州の食文化
カタルーニャ州は、地中海に面していることから魚介類が豊富なため、さまざまな魚介料理がある一方で、国境を接していることから、南フランス料理などの影響を受けています。また、ラードなどの動物性脂肪を用いる料理がある一方で、オリーブオイルをたっぷりと使う地中海料理的な一面もあります。野生のきのこをよく食べることでも知られており、世界的にも有名な公設市場「ラ・ボケリア」には、きのこ専門店があるほど。きのこ狩りなどにもよく出かけ、さまざまなきのこを食べる習慣があります。
公設市場にもあるスペインバル
バルセロナ市街にある公設市場、ラ・ボケリアには、さまざまな食材を扱う食料品店が数多く軒を連ねています。東京でいうと、豊洲市場のような場所だと考えると良いかもしれません。そのため、レストランのシェフなどがあちこちから、鮮度と品質の高い食材を仕入れにやってきます。そんなラ・ボケリアの中にもレストランやバルがあります。市場に訪れる人達や、市場で働く人達の胃袋を満たすそれらのお店のなかでも、シェフが集まるバルは観光客には教えたくないと評判です。
有名シェフが通い詰める市場のバル
朝早くボケリアに仕入れに来たシェフたちがたまり場にしているそのバルは、シェフが通い詰めるだけのことはあって、料理もお墨付きの美味しさ。オリーブやタパとともに頂くのは、カタルーニャ州のお酒の代表格でもあるカヴァです。カタルーニャ名物のカタツムリを使った料理はもちろん、きのこのソテーをはじめとしたローカルな雰囲気の料理も並びます。そこによく冷えた特産のカヴァさえあれば、楽しい時間が過ごせます。
カタルーニャ州のスパークリングワイン、カヴァ
カヴァは、スペインの特定地域で造られている、シャンパン製法を用いたスパークリングワインのことをいいます。その大半がカタルーニャ州で造られているといわれ、そのコストパフォーマンスの高さで、日本ではよく知られるようになりました。フランスのシャンパーニュでは高価で手が出にくいブラン・ド・ブランなども、手頃な価格で手に入るのが魅力的です。
サン・ジョルディの日には、赤いバラとお気に入りの本を用意して、カタルーニャ州に思いを馳せながら、スペイン料理やカヴァを楽しむのもいいのではないでしょうか。冷えたカヴァは、大切な人との気のおけないひとときを約束してくれますよ。