5月20日は、キューバの独立記念日です。
第二次キューバ独立戦争により、それまでキューバを統治していたスペインが主権を破棄し、キューバは独立国となりました。大航海時代から1902年までの、長きにわたる植民地支配から開放されたキューバですが、独立と同時にアメリカの介入が始まりました。アメリカとキューバの複雑な関係は今もなお続いています。
カリブ海の真珠、キューバ
キューバ共和国はラテンアメリカに位置する国です。
カリブ海に浮かぶ島国で、フロリダ半島の南にあります。大小1600もの島や岩礁からなる、東西に長い国で「カリブ海の真珠」と呼ばれています。美しい海岸線に縁取られ、マホガニーの林が彩る景色の美しさが、その所以とも言えるでしょう。平地ではサトウキビやオレンジが育てられ、山では銅や鉄が採れるなど、資源も豊かな国として知られています。
独立記念日と解放記念日
実はキューバでは、独立記念日は祝日ではなく、目立った記念日ではありません。
1902年のこの日は、確かにスペインの植民地支配から独立することになった日なのですが、独立と引き換えにアメリカを保護国とすることが決まった日でもあるからです。
キューバにとって、本当の意味での「独立」と言えるのは、キューバ革命によるバティスタ政権打倒が決まった解放記念日でしょう。アメリカの影響が強いバティスタ政権を倒した、革命軍の指導者でもあるチェ・ゲバラは、今でも反体制のシンボルとして、人々に崇められています。
キューバ独立記念日に生まれたカクテル
ある意味ではあまりありがたくない記念日でもあるキューバの独立記念日ですが、1902年のこの日に生まれたとても有名なカクテルがあります。
それがキューバ・リブレです。
キューバの特産品でもあるラムにコーラを注ぎ、ライムをたっぷり絞ったロングドリンクは、100年を超えてなお愛されるカクテルのひとつです。
キューバ独立の合言葉であった「ビバ・キューバ・リブレ」(キューバの自由万歳)という言葉とともに広まったカクテルでもあり、元はアメリカ軍の大尉が、ハバナのアメリカンバーで好んで飲んだカクテルに基づいているという逸話があります。
有名なカクテルのベース、ラム
キューバで生まれたカクテルは、キューバ・リブレだけに限りません。近年日本で大流行し、夏のカクテルとしてすっかりおなじみになったモヒートも、キューバで生まれたカクテルです。
また、文豪ヘミングウェイが愛したことで知られるダイキリもキューバ生まれ。この3つのカクテルに共通しているのは、ベースにラムが使われていることです。
キューバの特産品でもあるラムは、サトウキビから生まれる蒸留酒。そのまま楽しむのはもちろん、カクテルからお菓子作りまで、さまざまなものに使われ、親しまれています。
ハバナクラブだけじゃない、キューバ産ラムの魅力
キューバ産のラムとして真っ先に挙げられるのは、やはりハバナクラブではないでしょうか。
蒸留してすぐに瓶詰めされる透明なものから、樽でじっくり寝かせたダークラムまで、種類も豊富です。キューバの首都ハバナには博物館もあり、ラムの製造工程を見学できるだけでなく、試飲やラムの購入もできるとか。
しかし、ラムの魅力はハバナクラブだけでなく、もっと小さなメーカーのラムを探して味わうことにあるといえるかもしれません。
ひとくちラムといってもライトからヘビーまで味わいもいろいろ。好みのラムを生産するメーカーを探すのも楽しいお酒です。
サトウキビから生まれるやさしい甘さが感じられるラムは、食後酒やナイトキャップとして味わうのにもぴったり。
キューバの歴史に思いを馳せながら、ゆっくりと味わってみてはいかがでしょうか。