6月4日は虫の日です。
む(6)し(4)の語呂合わせからくる記念日で、1988年に手塚治虫氏の呼びかけで設立された、日本昆虫クラブが制定しました。
記念日を契機に、昆虫が住める街づくりを目指そうというものです。
実際に日本記念日協会に申請したのは、解剖学者の養老孟司氏で、2018年に申請されたばかりと、比較的新しい記念日です。
養老孟司氏は虫にも供養が大切と、鎌倉市の建長寺に虫塚を建立し、虫の日になると多くの昆虫採集家が供養に訪れるといいます。
もうひとつの虫の日
虫の日を記念日として制定しているのは、日本昆虫クラブだけではありません。
それは、「独立国・カブトムシ自然王国」を宣言する、福島県田村市常葉町。常葉町振興公社が「ムシの日」を制定しています。
常葉町は葉たばこの産地として有名で、その肥料でもある腐葉土の中で、カブトムシの幼虫が育つことに目をつけ、カブトムシの養殖を開始。カブトムシで町おこしをはじめました。
1991年には、子どもたちがカブトムシをつぶさに観察して触れ合うことの出来る「ムシムシランド」を開業しています。
昆虫食の広がり
近年では将来の食糧難に向けて、昆虫食がもてはやされるようになりました。
地球温暖化や異常気象などさまざまな理由から食糧難になる危険性があると多くの専門家が指摘しており、それを昆虫を食べることで救おうというものです。
昆虫は育てるのに広い土地がいるわけではなく、飼料も少なく、飼育に伴う温室効果ガスも格段に少ないため、とてもエコに育てることが可能です。
また、昆虫はタンパク質が豊富で他の栄養素も含むことから、一躍脚光を浴びるようになっています。
最近は昆虫食のフルコースを出す飲食店が出来たり、昆虫食専門のネットショップも現れています。
今までは罰ゲームや、ゲテモノ扱いだった昆虫食が、スタンダードな食事になる日も来るのかもしれません。
芋虫の入ったお酒
芋虫がお酒に入っているといっても、異物が混入しているというわけではありません。
世界を見渡すと、お酒に虫を入れて販売しているところもあったりします。
それはメキシコのお酒。メスカルという蒸留酒に、芋虫を入れて販売しているメーカーがあります。
メスカルはメキシコのリュウゼツランを原料にした蒸留酒。
メキシコの蒸留酒というとテキーラが有名ですが、テキーラはメスカルの一種で、特定の条件をクリアしたものがテキーラを名乗ることが出来るため、ワインで言うところのプルミエ・クリュのようなものだと考えるとわかりやすいかもしれません。
海外への輸出が盛んなテキーラは、工業的に造られているのに対し、メスカルは伝統的な製法で造る中小メーカーが多いのが特徴です。
なぜ芋虫を入れたのか
メスカルに入っている芋虫は、リュウゼツランにつく「グサノ・ロホ」や「グサノ・オーロ」と呼ばれる芋虫です。
メキシコは伝統食として昆虫を食べる習慣があります。
都市部には少なくなっているようですが、田舎に行くとまだまだ食べる地域が残っています。
この芋虫をメスカルに入れる理由は2つあるといわれています。
1つはメスカルが美味しくなるから、というもの。
もう1つは芋虫が腐っていないことで、アルコール度数が高いことを証明するためだというものです。
どちらにしても、おまじないのようなものだと言えるので、メスカルの品質にはあまり関係がなさそう。
虫の命を弔いつつ、美味しくお酒をいただきたいですね。
メスカルの正しい飲み方は、カットしたオレンジをかじって、果汁を口の中に行き渡らせたら、ショットグラスに入れたメスカルをひと口含んで味わう、というもの。
甘酸っぱいオレンジの香りとともに広がるメスカルのスモーキーな香りを楽しむなら、タコスやナチョスをつまみにしたいところ。
飲みすぎないように気をつけつつ、虫の日の夜を過ごしたいですね。