毎月25日は天神の縁日です。
学問の神様として知られ、天神様の呼び名で親しまれている菅原道真は、誕生日と命日がともに25日であったことから、毎月25日が天神の縁日となっています。
この日は、菅原道真を祀っている天満宮や天神社に多くの参拝客が訪れ、境内や沿道にはさまざまな露店が並び、たくさんの人で賑わいます。
学問の神様・菅原道真とは
菅原道真は平安時代の学者で文人、政治家でもあった人物で、幼い頃からその才能を発揮し、若くして朝廷の要職について手腕を発揮しました。
学問だけでなく、和歌や連歌を詠むことでも知られ、多くの人から尊敬を集めたことで知られています。
しかし、菅原道真が天神様として親しまれるようになるまでには、さまざまなことがありました。
菅原道真は晩年、藤原時平の謀略によってその地位を追われて太宰府に左遷され、失意のうちに亡くなったのです。
多くの人に慕われていた道真は、没後すぐに天満大自在天神として臣下が神格として祀りました。
菅原道真が天満宮に祀られた理由
しかしその後、疫病や日照りに加え、醍醐天皇の皇子が次々に亡くなり、さらには平安京の清涼殿が落雷で焼けたことで多くの人が犠牲になりました。
これが道真の祟りだと考えた朝廷は、道真の罪を許し、贈位を行ったのだといいます。
落雷で清涼殿が焼けたことから道真の怨霊は雷神と結び付けられ、もともと火雷神を祀っていた京都の北野の地に、朝廷は北野天満宮を建立し、その怒りをおさめようとしたのがその始まりです。
道真が亡くなった太宰府には、醍醐天皇の勅命で太宰府天満宮が建立され、同様に祀られることとなりました。
その後不幸なことは収まり、平安時代末期には怨霊として恐れられることはなくなったのだといいます。
そして、慈悲や正直の神、冤罪を晴らす神として、また和歌や連歌などの芸能の神として、長寿と極楽往生に導く神として信仰されるようになりました。
現代では学問の神様としての部分が大きく捉えられていますが、その御利益にはさまざまなものがあることがわかりますね。
菅原道真が愛した梅が枝餅
菅原道真が祀られる太宰府天満宮の門前には、さまざまな店が立ち並んでいますが、その中でも多くの人に親しまれているのが「梅が枝餅」です。
太宰府に左遷された道真に対し、食物や馬を与えることを太政官が禁じたため、太宰府の役人たちは食べ物を与えないだけでなく、口を利く者もいなかったといいます。
廃屋のような住まいでの生活を強いられ、食事にも事欠く生活をしていた道真を見るに見かねた浄妙尼が、道真が好きだったお餅を梅の枝に刺して渡したのが梅が枝餅のはじまりです。
その後道真は亡くなり、その柩に入れたこの餅が門前で売られるようになりました。
あんこをもち米とうるち米で作った生地で包んだ梅が枝餅は、素朴でやさしい味が今でも多くの人に親しまれています。
梅ヶ枝餅と合わせるお酒
焼きたての香ばしい生地に包まれた甘いつぶあんがほっこりする味わいの梅が枝餅に合わせるなら、どんなお酒がいいでしょうか。
太宰府天満宮のある福岡県では日本酒も造られていますが、九州というと焼酎のイメージが強い方もいるかも知れません。
九州でも北部にある福岡県で造られているのは、麦焼酎が中心です。
その中のひとつ、「からす」は黒麹菌を使用した麦麹を使って造られる麦焼酎で、香ばしい麦の香りと、麦ならではの甘みとコクが感じられます。
おすすめの飲み方はオンザロック。
たっぷりの氷を入れたオールドファッショングラスに注いで、ゆっくりと味わいながら、温め直した梅が枝餅をいただけば、麦焼酎の深い味わいとつぶあんのやさしい甘さがお互いを引き立て合います。
夕食後などのゆったりと過ごせる時間に楽しむのにぴったりの組み合わせです。
学問や芸能の神様としてだけでなく、さまざまなご利益のある天神様。
天神の縁日にはお参りに出かけて梅が枝餅を購入するのもいいかもしれませんね。