8月15日は「刺身の日」です。
この記念日は、室町時代中期に書かれた「康富記」の1448年8月15日の日記の中に「刺身」という言葉が登場した日にちなみ、制定されました。
「康富記」というのは室町時代に外記局官人である中原康富が1408年〜1455年まで書いた日記のこと。
その中で「鯛ならわかるやうにその魚のひれを刺しておくので刺身、つまりさしみなますの名の起り」と書かかれていたことが由来なのだとか。
「切身」ではく「刺身」?
「刺身」という言葉は室町時代に生まれたと言われていますが、なぜ「切身」ではなく「刺身」という名前がつけられたのでしょうか?
切るのですから、「切身」でよいように思います。
それは、「切る」という言葉が江戸では「切腹」や「縁切り」などの縁起の悪い言葉を連想させることから、避けられたのではないかと考えられています。
また、魚の切り身にその魚の背びれなどを串で刺して魚の種類がわかるようにしていたことも語源だとされています。
「刺身」と「お造り」はどう違う?
では、「刺身」と「お造り」はどう違うのでしょうか?
スーパーや和食店でも両方の言葉を目にするので、どのように使い分けられているか、気になります。
どちらも生魚を一口サイズに切り分けたものですが、そもそも同じ料理を指す言葉ではないようです。
江戸時代に遡り、京都は地理的に海から遠いため、獲った魚が傷まないように昆布〆にしたり、皮目に熱湯をかけたりと、一手間をかけて切り身を作ってから運んでいたため、それらを「お造り」と呼んでいました。
このことから、主に関東では生魚をさばいた切り身のことを「刺身」、主に関西では一手間加えた魚の切り身のことを「お造り」と呼んでいました。
しかし関東大震災以降、関西から大勢の料理人が東京に渡ったため、関西の呼び方も定着し、現在魚の切り身は「刺身」「お造り」両方の言い方で呼ばれるようになりました。
次に、代表的なお刺身と、それらに合わせたいお酒をご紹介していきましょう!
白身魚の刺身とのペアリング
まず、ヒラメやタイといった白身魚には、さわやかな白ワインを合わせてはいかがでしょうか?
フレッシュで爽やか、ジューシーで瑞々しい果実味とミネラリーな余韻があるガヴィがぴったり!
「ガヴィ デル コムーネ ディ ガヴィ ヴィッラ スパリーナ」をおすすめします。
ピエモンテの代表的な造り手ヴィッラ スパリーナのスタンダードガヴィで、コルテーゼの個性をストレートに感じる、爽やかな果実味とキリッとした酸味のバランスがとれた1本です。
コストパフォーマンスにも優れ、2020年はワイン・スペクテイターの元編集長で、世界的なワイン評論家による『ジェームズサックリング』で91点を獲得。
酸とミネラルが繊細な白身によく合います。
醤油よりもレモン塩で食べると、さらに好相性です。
台形を逆さにした独特のボトルデザインもユニークですね。
また、ミュスカデも白身魚との相性抜群です。
フランス・ロワール地方の中でも最も西にある、海に面したエリアで造られる白ワインで、スッキリとした味わいの中にミネラル感があり、海鮮にぴったりマッチング!
ワインの発酵時に澱をそのままにして長期間ワインと接触させ続ける「シュール・リー」製法により、ワインに旨味が加わっています。
おすすめしたいのは、ドメーヌ・ランドロンの「ミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌ シュール・リー ラ・ルヴトゥリ」です。
天然酵母を用い、添加物の使用は極力排除。
国内外からの評価も高く、パリの三ツ星レストランにもオンリストされているミュスカデを代表するワイナリーが手掛けています。
フレッシュ&フルーティな味わいとエレガントな酸が特徴的で、和食全般に幅広くマッチする味わいです。
イカ・エビの刺身とのペアリング
イカやホタテ、甘えびなどに合わせたいのは、ボリューム感のある白ワインです。
リースリングの辛口なら、フルーティさとミネラル感・程良い甘味が、イカやえびの甘さに絶妙にマッチします。
また、旨みとキレのある酸が、上手に海鮮の臭みを消してくれます。
おすすめは、「アルベルト・グラス リースリング」です。
アルベルト・グラスは、1958年創業の伝統ある家族経営のワイナリーで、自然との調和・伝統を重んじながら高品質なワインを造り出しています。
こちらのワインは、グレープフルーツ、みかん、金柑のような良質な柑橘系果実の香りとミネラルの風味がたっぷり感じられ、ペトロール香は一切感じないモダンなスタイル。
口当たりは滑らかで、甘味、酸、ミネラルとのバランスに優れ、辛口でも果実の底力を感じるこれぞドイツのリースリングと納得できるワインです。
赤身魚の魚とのペアリング
マグロやカツオといった赤身の魚の刺身に合わせたいのは、ライト~ミディアムボディの赤ワインです。
特に、繊細なピノ・ノワールはピッタリ。
合わせたいワインは、長野県はすみファームの「ピノ・ノワール」です。
野生酵母で発酵させた後、オーク樽で熟成させ、瓶詰め後さらに半年間熟成させてリリースしたミディアム・ボディの1本。
イチゴジャムのような芳醇な香りが特徴的で、色は淡いピンク色。
スパイシーでありつつタンニンは繊細でなめらかな口当たり。
ピノ・ノワールの繊細さはマグロの旨味を損なわず、シルキーなタンニンが赤身マグロのほどよい脂質と調和します。
また、飲むワインをほんの少し醤油に垂らし、醤油をワインで割るのもおすすめ。
酸味のまろやかなポン酢を思わせる味わいになるので、ワインにぐっと寄り添います。
「刺身の日」には、お好みの刺身にぴったりなワインを楽しんでみてはいかがでしょうか?