9月8日はスペインワインの日です。
日付は、スペインの現在のワイン原産地呼称統制法のベースと言える「ワイン法(Estatuto del Vino)」が1932年9月8日に政令として承認されたことに由来します。
スペインワインの素晴らしさを広めることを目的に、スペインワイン協会により制定されました。
ワイン大国 スペイン
スペインは世界有数のワイン生産国です。
栽培面積は世界1位!
2020-2021 期のワインと果汁の生産量はイタリアおよびフランスに続き第3位、また2020 年の輸出総量はイタリアに続き世界第2位となっています。(OIVの2021年5月発表の資料より)
スペインワインは種類が豊富
スペインワインの原料となるブドウは150種ほどありますが、使用されているのは主に20~30種程度で、多くは土着品種です。
主な品種をご紹介します。
【黒ブドウ】
テンプラニーリョ
テンプラニーリョは、果皮が厚く小粒の黒ブドウ品種です。
香り豊かでタンニン豊富なものの、カベルネ・ソーヴィニョンほど強くはないため、伝統的にアメリカンオーク樽で長期間熟成し製造されてきました。
近年は、リオハなどの伝統的な産地以外では瓶熟成で果実味を前面に押し出したものや、フレンチオークによる小樽熟成のものなど様々なタイプが登場しています。
香りはしばしばイチゴやプラムに例えられ、長期樽熟成したものにはスパイシーかつ、たばこやなめし皮の香りのニュアンスも感じられます。
ガルナッチャ
ガルナッチャは、スペインのアラゴン地方が原産地といわれる黒ブドウ品種で、フランス等他国ではグルナッシュと呼ばれています。
ドライフルーツを連想させるような果実味があり、香りにはスパイスやチョコレートなどの甘やかな印象が。
味わいは、アタックがやわらかでまろやかさが感じられます。
モナストレル
モナストレル種の起源は、オレンジで有名なスペイン・バレンシア近くにある町「ムルビエドロ」と言われています。
小粒で果皮が厚く、糖度も高く、果実味・タンニン・アルコールがパワフルな品種で、フランスでは「ムールヴェ―ドル」の名で知られています。
【白ブドウ】
チャレッロ
チャレッロはカタルーニャ州原産の白ブドウ品種で、D.O.ぺネデスを代表する品種です。
カヴァに使用される三大品種(チャレッロ、マカベオ、パレリャーダ)の一つで、カヴァにしっかりした酸味を与えてくれます。
洋梨のようなフルーティな香りに加え、レモン・ハーブのようなニュアンスも特徴的です。
マカベオ
マカベオは、スペインや南フランスで主に栽培されている白ブドウ品種で、起源はスペイン・カタルーニャ州という説が有力だと言われています。
香りは、柑橘やハーブ、トロピカルフルーツなど様々なタイプがあり、熟成によってナッツの香りが現れてきます。
酸味は中程度でドライ。
アフターに心地よいほのかな苦味が感じられます。
カヴァの原料としても使用され、フランス・ルーションでは「マカブー」 、スペイン・リオハで「ヴィウラ」と呼ばれています。
アルバリーニョ
アルバリーニョは、イベリア半島の北西部を中心に栽培されている白ワイン品種。
グレープフルーツを思わせるシトラス系の爽やさや、桃やアプリコットのような華やかな香りがあります。
また、海藻や磯を思わせるようなミネラルを感じることから、魚介との相性が抜群です。
あまり耳慣れない品種もあったかもしれませんが、単一品種で造られているワインを選べば、個性がダイレクトに感じられるので、是非手に取ってみてください。
では、豊富なバリエーションの中でも世界的に高い評価を受けている代表的なワインをご紹介していきましょう。
代表的なスペインワイン
①リオハ
リオハは、スペインの北東部に位置するスペインを代表するワイン産地です。
古代ローマ時代からワイン造りが行われていた長い歴史を持つ産地で、19世紀にボルドー地方から醸造技術を取り入れたことにより、めざましい発展を遂げたと言われています。
リオハワインは原産地呼称制度の中で最上位のD.O.Ca(特選原産地呼称ワイン)に認定されており、現在D.O.Caに認定されているのは、後に認定されたプリオラートと合わせて2つだけであることから、名実ともにスペイン屈指・世界有数の高品質ワインと言えます。
マルケス デ リスカル ティント レぜルバ 2016
おすすめしたいのは、「マルケス デ リスカル ティント レぜルバ 2016」。
マルケス・デ・リスカル社は1858年に設立され、リオハの地に最古のワイナリーを所有しています。
1876年にはプリュッセル展示会で金メダル、1895年にはボルドー博覧会でフランスワイン以外としては初の名誉賞など、数え切れないほど多数の賞を獲得しています。
「マルケス デ リスカル ティント レぜルバ 2016」は、完熟した果実の香り、オークやスパイスなどの香りが感じられ、口に含むとなめらかでベルベットのようなタンニンが特徴的。
酸味はとても心地よくバランスが取れた味わいで、余韻の長さも魅力的です。
ちなみに、ボトルにネットが掛かっているのは、20世紀初期「リスカル社のワイン空瓶に他社ワイナリーがワインを詰めて販売される」という事件が発生したため。
「リスカル社のワインが中に入っている」という証拠の為、ネットが掛けられ「未開封の証」としているのだそうです。
②カヴァ
カヴァはシャンパンと同じ伝統的製法で造られる、スペイン産のスパークリングワインです。
カヴァ(Cava)という名前は、カタルーニャ語で「セラー」を意味し、ワインを熟成させる洞窟(Cave)に由来しているのだとか。
カヴァの品種は白ブドウ5種(チャレッロ、マカベオ、パレリャーダ、シャルドネ、スビラ・パレン)、黒ブドウ4種(ガルナッチャ、モナストレル、トレパ、ピノ・ノワール)、全部で9つの品種が認められており、中でも主要な品種がチャレッロ、マカベオ、パレリャーダの3種です。
セグラヴューダス ブルート レゼルバ エレダード
おすすめは、2006年に世界最優秀ワイナリー賞を受賞したセグラヴューダスによる「セグラヴューダス ブルート レゼルバ エレダード」です。
長期熟成期間を経た格調高いカヴァで、心地良い泡立ちと長い余韻が口の中に広がります。
クリーミーで活発な泡立ち、果実味も酸味も力強くコクがある味わい。
リンゴの皮や炒ったカシューナッツ、パターを多く使用したパンのような繊細な香りが印象的です。
カヴァはシャンパンに比べてリーズナブルで手の届きやすい価格なので、デイリーワインとして楽しむのにぴったりですね。
③シェリー
シェリーとは、スペイン・アンダルシア地方のヘレス周辺で造られる酒精強化ワインの1種です。
シェリーの魅力の一つは、その多様性。
辛口ワイン、天然甘口ワイン、これらをブレンドした甘口ワインの3カテゴリーがあり、天然甘口ワインはペドロ・ヒメネス、モスカテルの2種類に、ブレンド甘口ワインはクリーム、ミディアム、ペイルクリームの3種類に分けられます。
また辛口タイプは、酵母を使って熟成させたシャンパーニュのような風味を楽しむタイプであるフィノ・アモンティリャードと、酵母の影響を与えずに熟成させた酸化熟成タイプのマンサニーリャ・オロロソの4つに分類されます。
ボデガス イダルゴ アモンティリャード ナポレオン
おすすめしたいのは、イダルゴ社の「ボデガス イダルゴ アモンティリャード ナポレオン」です。
同社は1792年に設立されたシェリーの造り手で、数多くの賞を受賞するスペイン国内トップシェリーメーカーのひとつです。
「アモンティリャード」は、フィノに存在する酵母が無くなった(無くした)シェリーで、フィノより空気に触れる時間が長いことから、酸化熟成が進み、色は琥珀色に。
フィノとオロロソの中間のシェリーと言われています。
熟成に由来する複雑な風味とヘーゼルナッツを思わせる高貴な香りが広がり、ソフトでまろやかな口当たりが特徴です。
スペインでは、バラエティ豊かなワインが造られているので、きっと好みのワインに出会えるはずです。
是非様々なワインをお試しになってみてください。