11月11日はチーズの日です。
日本で初めてチーズの原型とされる酥(そ)の製造を命じたのは平安時代のことです。
その様子が記された最古の文献「政事要略」には、700年の10月と記録されており、旧暦の10月を新暦の11月に置き換え、1992年に日本輸入チーズ普及協会と、チーズ普及協議会が、覚えやすい11日を記念日として制定しました。
この日にはチーズフェスタが行われ、多くのチーズファンがおいしいチーズを求めて集います。
チーズは人類最古の食品のひとつ
チーズが作られるようになったのは、具体的な時期までははっきりとわかりませんが、紀元前3500年頃ではないかと言われています。
この頃、メソポタミアやエジプトなどでは、羊や山羊が家畜化されるようになり、乳を保管する中でチーズの原型となるものが生まれたと言われています。
その後長い時間を経て、チーズはヨーロッパへとわたり、ギリシャでフェタチーズの製造が始まったのが紀元前1500年頃のことです。
チーズフォンデュなどに使われるエメンタールチーズがスイスで作られるようになったのは1400年頃、さらにフランスでカマンベールチーズが作られるようになったのは1791年と、よく知られるチーズが作られるようになるまでには長い長い時間がかかっています。
日本でチーズが本格的に作られるようになったのは1875年のことで、朝鮮半島や中国大陸から酥が伝わってから1000年以上もあとのことになるのです。
さまざまな種類のあるチーズ
ご存知の通り、チーズにはとても多くの種類があり、その味わいは非常に多様なものです。
原料となる乳は牛乳だけでなく、羊や山羊、水牛などのものを使用したり、作り方によってフレッシュなうちに食べなければいけないものもあれば、熟成してうまみが出たものを食べるものもあり、硬さもさまざまです。
中にはチーズの表面を塩水やアルコールなどで拭いて熟成することで、独特の匂いが出たウォッシュタイプのチーズもあります。
青カビタイプや白カビタイプ、山羊の乳を使うシェーブルなど、世界には1000種類を超えるチーズがあると言われ、フランスに至っては、村に1つは必ずチーズがあると言われるほどです。
さらにはそうしたナチュラルチーズ以外に、ナチュラルチーズを溶かして固めたプロセスチーズもあり、たくさんのチーズの中から好みのものを選ぶことすら大変なほどです。
好みのチーズをお酒に合わせて上手に選べるようになりたいですね。
切っても切れないワインとの関係
チーズと言って思い出すのは、やはりワインではないでしょうか。
チーズと同様に、メソポタミアやエジプトに起源があるとも言われ、ヨーロッパで発達した歴史を持ったワインは、マリアージュを語る上で欠かせないお酒の1つと言えます。
さまざまなチーズとワインを合わせるのも楽しいですが、これからの季節、チーズフォンデュやラクレットなどとともにワインを楽しむのもおすすめです。
チーズフォンデュに合わせるならこんなワイン!
少し硬くなったバゲットや茹で野菜、ソーセージやりんごなどをチーズに絡めて食べるチーズフォンデュは、パーティーメニューにもぴったりの1品です。
チーズフォンデュを作るのには白ワインが使われていることもあり、白ワインを合わせるのがおすすめですが、使うチーズによっては赤ワインがよく合う場合もあります。
エメンタールなどを使った定番のチーズフォンデュなら、アルザスのリースリングなどがぴったりです。
なかでも名門メーカーとして知られるトリンバックのリースリングは、ミネラルのようなニュアンスと、柑橘類のようなフレッシュな酸味のバランスが良いのが特徴です。
シュークルートのような伝統的なアルザス料理はもちろん、チーズとの相性もとてもいいので、これからの季節に1本ストックしておくと重宝します。
秋も終わりに近づく11月のチーズの日は、チーズとともにリースリングで乾杯しつつ、その長い歴史に思いを馳せるのもいいかもしれませんね。