イタリア中部の都市フィレンツェにある「サンタマリアノヴェッラ薬局」をご存じですか?
400年以上の歴史を誇る世界最古の薬局であり、ほとんどのイタリア観光ガイドブックに掲載されている日本でも人気のスポットです。
サンタマリアノヴェッラ薬局では女性に大人気のコスメがたくさん取り扱われていますが、お酒好きとしては伝統的なリキュールに注目したいところ。歴代の薬局長が記したリキュールのレシピが今も大切に継承されており、滋養強壮のため、あるいは日々の嗜好品として人々に親しまれています。
この地方の伝統菓子を作るのに欠かせない美しいオレンジ色のリキュール「アルケルメス」、かつてフィレンツェを統治していたメディチ家の名前がつけられた「メディーチェオ」など、さまざまな種類が取り扱われていますが、その中で私が購入したのは、その名も「サンタマリア」というリキュール。
小瓶の容器は、そのままインテリアとして部屋に飾っておきたいような可愛らしさです。
肝心の中身は少しとろみのある黒い液体で、「もしかしたら苦いんだろうか」と身構えてしまうような見た目をしています。
グラスに注ぐと薬草のような独特の甘い香りが漂いました。
おそるおそる口に含むと……ほんのりとした甘みと深いコクを感じました。それでいて清涼感もあります。
今まで出会ったことのないような不思議な味わいです。
クラシカルな容器も相まって、まるでファンタジーの世界から抜け出てきたような飲み物に思えました。
最近身体の調子が良くないという方、いちど世界最古の薬局のリキュールを試してみてはいかがでしょうか。
400年の歴史に思いを巡らせながら、たまにはお酒を飲みつつ身体をいたわるのも悪くないかもしれません。
私は寝つけない夜にこのリキュールをひとさじいただくと、よく眠れるような気がしています。
もしかしたら、単なる思いこみかもしれませんが……