パソコンのキーボードにお酒をこぼしてしまって、「あなたも呑みたかったのね」と思うことにした酔いどれ女子です。
夜中にお酒を呑んで、お酒のことを考えて、パソコンで日本酒のネット検定(前回の記事参照)などやって、なるほどねーなんて思っていたら、モッズコート姿の織田裕二に一喝されたような気がしまして。
「事件はネットで起こってるんじゃない、現場で起こっているんだ!」と。
そうだ、やっぱり現場へ行かなくちゃ、お酒造りの現場へ。酒蔵に行こう!
酒蔵見学に行こう!電車に揺られて奥多摩へ
というわけで、電車に揺られて、小澤酒造株式会社 澤乃井 酒蔵見学に行ってきました~!
住所:東京都青梅市沢井2-770
アクセス:JR青梅線 沢井駅下車徒歩3分
見学費用:無料(要予約)
見学所要時間:約40分
東京・新宿方面から出発したわたしは、まずはJR中央線で青梅駅を目指します。
東京と言えども、このあたりはのどかな風景が広がっています。
青梅駅からJR青梅線・奥多摩行きに乗り、さらに東京の奥のほうへ進み、ここが「澤乃井」の酒蔵がある沢井駅♪
ホームに降りたら、階段を上って改札へ。あ、こちらが改札です。
到着時、駅員さんはいなかった。素朴な駅です。
ちなみにこの日は、雨模様だったのですが、乗り換えの電車に傘を忘れてきてしまいまして。「駅前にきっとコンビニがあるだろうから、コンビニで傘を買おう」と思ったのは甘かったようで。。。
沢井駅からの風景。
昔ながらの郵便ポストが目立つばかりで、あらら、コンビニどころかお店らしきものが何もない。(笑)
仕方なく、雨に濡れながら目的地・小澤酒造株式会社を目指したところ…近いのであまり濡れずにすみました♪
駅前から伸びる急な坂道をくだって…
大きな道に出ると、立派な門を発見!
門の奥のほうに見えるのが澤乃井の酒蔵。左手にある、かやぶき屋根の日本家屋は小澤酒造株式会社の社長のご自宅だそうです。
すぐに酒蔵に直行したい気持ちは山々ですが、酒蔵見学はもっと坂道を下ったところにある売店に行って、受付が必要です。
大きな道路を渡り、さらに坂道を下ればスグ。
こんなコも出迎えてくれます。
すばらしく気持ちのよい庭園!ここが「澤乃井園」。周囲の景観は、またのちほどご紹介しますが、お酒好きのみならず、ハイキングや観光の立ち寄り所としても人気があるのに納得です。奥に見えるのが売店。売店で酒蔵見学の受付を済ませます。
いよいよ酒蔵見学!元禄時代(300年前)に建造された歴史ある土蔵へ…
受付後、いよいよ酒蔵へ…♪
ほら、酒蔵の象徴、杉玉もある!
係りの方に案内されて、まずは酒々小屋(ささごや)というところで見学者が待機します。この日は全部で8人くらいの見学者がいました。
酒々小屋の中はこんな感じ。
開始時刻になると、小澤酒造の方がやってきて、ホワイトボードを使いながら小澤酒造の歴史やお酒の造り方など、レクチャーしていただきました。
そしていよいよ酒蔵の中へ入ります!
蔵の中は空気がひんやり、お酒の香りが漂っています。そして大きなタンクがいっぱい!
屋根を見ると年月の経過が感じられますが、この酒蔵は、創業当時の元禄時代(1600年代後半)に建てられ、「元禄蔵(がんろくぐら)」と呼ばれているそうです。元禄蔵の屋根は、太陽の光を受けにくい構造になっていて、夏は涼しく冬は暖かい温度を保てるため、現在も貯蔵庫として使用しています。
大きなタンクの中には、人が一生かけて呑むくらいのお酒が入っているとのこと。持って帰りたいくらいです。
そして、上槽(じょうそう)と言われる、液体と酒粕を分ける作業を行う部屋の前にも案内していただき、精米や上槽作業について、お話を伺いました。
こちらはズラリと並んだ熟成酒、圧巻です!
湧き水の井戸に続く洞窟の入り口には、しめ縄が張られ、厳かな雰囲気が漂います。洞窟の奥に窓があり、窓の向こうでは、こんこんと湧き出る岩清水が見られました。この水がお酒に使われているんですね。
そして酒々小屋に戻り、いよいよ利き酒タイム!
ところで、利き酒用のぐい呑みがあるってご存知でした?
内側の底に、紺色の円が描かれているぐい呑み。白い部分でお酒の色味を、紺と白の境目部分で、お酒の透明度を見るそうです。そうして色を見て、匂いをかぎ鼻に抜ける香りを感じ、口に含み味わいを確かめる…そして、口から吐き出す。これが本来の利き酒だそうですが、「今回はせっかくだからお呑みください」と言われてホッとしました(笑)。
今回の利き酒は「ひやおろし」。目で見て、香りを楽しみ、こくり…香り豊かでふっくらとしたお味でした。美味しい。秋はひやおろし、冬はできたての生酒など、季節にあったお酒を提供されるそうです。
これにて酒蔵見学は終わり。貴重なお話をありがとうございました!
この先は、「きき酒処」にて愉しむべし!
「きき酒処」と書いてパラダイスと読む。銘酒10柄ずらり!
酒蔵見学終了後、真っ先に向かったのが園内にある「きき酒処」。
常時10種類のお酒が用意され、ぐい呑み1杯200円~、お酒を愉しめます。うれしいことに、おかわりは100円引き。全国新酒鑑評会の金賞受賞の「梵」も、1杯500円で味わえるのも魅力。酒蔵見学で説明を聞いたばかりなので、「このお酒が80時間かけて35%まで精米したという梵ね」と「日本でも希少な木桶で仕込んだお酒、彩は(いろは)は、どんな味なんだろう」という愉しみ方ができる。
ちょこっとずつ、いろいろ呑めるなんて、ここはパラダイス!?
また、ここで使わせてもらったぐい呑みは、お持ち帰りできるので、よい記念になります。
お酒を味わえるのはもちろん、このきき酒処は景観がとても素晴らしい!
渓流と花を眺めながら呑む、旨い酒は最高~!
松を眺めながら、一人でぐい呑みをあおっている女のうしろ姿が、わびしかったのでしょうか。おじさまに柿ピーをいただきましたが、ここは飲食持ち込み禁止と気づいて、バッグにそっとしまいました。
なかなか手が出ない高価な「梵」
創業当時の味に近づけた「元禄(がんろく)」
日本でも珍しい木桶で仕込んだお酒「彩は(いろは)」
…以上3種、ふだんお目にかかれないものをいただきまして、すっかりいい気分♪
澤乃井園にて食す美味♪酒饅頭に、仕込み水で作った豆腐料理
きき酒処を出て、庭園を歩くとマイナスイオンたっぷりの空気に癒されます。
庭園にある売店で、酒饅頭1個100円を買いました。
あずまやにて、渓流を眺めながら酒饅頭を食す。なかなか風情があります。
が、いい感じに酔いが回ってブレてます。
甘さ控えめのこしあんが美味しかったです。
日本酒4杯(酒蔵見学で利き酒1杯と、「きき酒処」で3杯)呑んで、酒饅頭を食べておいて言うのもなんですが、おなかがすきました。
お食事ができるところは3つ。
1)軽食・売店コーナー
うどん・そばなどの軽食や、売店で買った酒饅頭などを、川沿いの庭園で食べられる。(持込不可)
2)澤乃井 直営料亭「まゝごとや」
コース料理3,800円(税別)~。(2014/9現在)
澤乃井の仕込み水を使って作られたお豆腐やゆばを、澤乃井の銘酒とともに結ったり贅沢に味わえるそう。
3)「豆らく(まめらく)」
「まゝごとや」の姉妹店。お豆腐料理を中心にしたコースを1,000円台で堪能できる。湯葉のお刺身や、湯豆腐も、単品でオーダー可能。
今回、わたしは「豆らく」で「吟糠(ぎんぬか)の揚出し膳」(1,550円)をいただきました~♪
山田錦を精米するときにとれた上粉(白糠)を衣に使って揚げた絹豆腐だそうで、酒蔵に来た甲斐を感じます。上品な絹豆腐に、繊細な上粉の衣をしっかり味わいました♪懐石料理のように並んだ品々、どれもこれも美味しかったです。
自然豊かな奥多摩にて、景観と銘酒と美食に癒される大人の遠足
おなかがいっぱいになったあとは、ちょっとお散歩。
ご覧ください、この素晴らしい景観!
都会の喧騒から離れて、緑の中で渓流のせせらぎに耳を済ませると、珍しく清清しい気持ちになりました。
もう少しここでのんびりしたいなーと思いながらも、帰りの時刻は近づいています。
おみやげ売り場で少し迷ってから、酒粕のかりんとうと、ゆずみそを買いました♪
後ろ髪引かれる思いで、あとにした澤乃井園。電車を乗り継いで帰りましたが、都心から2時間足らずの距離であることに改めて気づきました。そう、それほど遠くはないのです♪
お酒を作る現場が見たくて、社会科見学のつもりで行った酒蔵見学。
でも、行ってみたら、お酒の造り方や、お酒を造る姿勢を学べただけでなく、山、多摩川、岩清水、人に癒されたひとときになりました。まるで、自然と人の調和によって日本酒が生まれたと気づかせてくれるように。
豊かな自然の中、多くの銘酒を堪能し、美食にも出会え、それはそれは楽しい大人の遠足になりました。
ひとりだったけど。
季節ごとに行ってみたいもんだ、次回は冬に…と目論みつつ、今宵はスケジュール帳を片手に澤乃井を呑みます~♪
【おまけ】
買って帰ったゆずみそは、こんにゃくにかけてお酒の肴として活躍~!
〆には、ゆずみそ焼きおにぎり♪